パイプオルガンコーラル(チューブコーラル)の飼育ガイド|設置・水質・給餌・増殖
パイプオルガンコーラル(Tubipora musica)の飼育方法を解説。水質パラメータ(KH・カルシウム・マグネシウム)の維持方法、照明と水流の最適設定、ライブロックへの固定方法、ポリプが開かない時のトラブルシューティング、フラグによる増殖まで詳しく紹介します。

この記事のポイント
パイプオルガンコーラル(Tubipora musica)の飼育方法を解説。水質パラメータ(KH・カルシウム・マグネシウム)の維持方法、照明と水流の最適設定、ライブロックへの固定方法、ポリプが開かない時のトラブルシューティング、フラグによる増殖まで詳しく紹介します。
関連品種
パイプオルガンコーラル(チューブコーラル)とは
パイプオルガンコーラル(学名:Tubipora musica)は、オクトコーラル(八放サンゴ類)に分類される軟体サンゴの一種です。名前の由来は赤い骨格が並ぶ様子がパイプオルガンを連想させることから。別名「チューブコーラル」「オルガンパイプコーラル」とも呼ばれます。
基本情報
赤い骨格(石灰質の硬い骨格)は市販のものや標本として流通しますが、生体飼育の対象は骨格から伸びる緑色のポリプを育てることが醍醐味です。ポリプが開放すると羽毛状の触手が広がり、水流に揺れる様子が美しいサンゴです。
必要な水槽環境
水質パラメータ
パイプオルガンコーラルの飼育には清浄な海水水槽が必要です。
| パラメータ | 目標値 |
|---|---|
| 比重 | 1.023〜1.025 |
| 水温 | 23〜26℃ |
| pH | 8.1〜8.3 |
| アルカリ度(KH) | 8〜11 dKH |
| カルシウム | 380〜430 mg/L |
| マグネシウム | 1250〜1350 mg/L |
| 硝酸塩(NO₃) | 5〜20 mg/L以下が理想 |
| リン酸塩(PO₄) | 0.03〜0.10 mg/L |
カルシウム・アルカリ度・マグネシウムのバランスを維持することが、骨格成長の鍵です。カルシウムリアクターまたは2パート添加剤(AW法)での定期的な添加を行います。
照明
パイプオルガンコーラルのポリプは共生藻(褐虫藻)を持ちますが、それほど高光量を必要としません。
- 適切な光量:50〜150 PAR
- 色温度:6500〜14000K程度(青白い光が発色を美しく見せる)
- 強光よりも安定した中程度の光量が好ましく、高PAR環境ではポリプの引っ込みが増える傾向があります
水流
緩やかな間接的な水流が最も好まれます。
- 水流の強さ:低〜中程度(ポリプが激しく揺れない程度)
- 単一方向の強水流はポリプの展開を妨げます。ウェーブポンプやランダム水流が理想的
- 水槽内の淀み(デトリタス溜まり)は硝酸塩・リン酸塩の上昇につながるため注意
水槽内への設置と配置
設置位置
- 底置きまたは低〜中位置(中位置より上は光が強くなりすぎる場合あり)
- 低い位置に置き、弱い間接光が当たる場所が安定する傾向
- 砂底への直置きは硫化水素発生リスクがあるため、岩盤の上か横の岩面へ固定します
固定方法
他のサンゴとの相性
パイプオルガンコーラルは掃射(スウィーピングフィーダー)能力が低いため、攻撃性の高いLPSサンゴ(ハンマーコーラル・タコアシサンゴ等)の触手が届かない位置に設置します。軟体サンゴ(ウミキノコ・トサカ類)との相性は比較的良好です。
餌の給餌
パイプオルガンコーラルは光合成依存型ですが、補助的な給餌で成長が促進されます。
給餌の方法
- マイシス・コペポーダ(冷凍):週1〜2回、ポリプが展開しているときに直接スポイトで少量を与える
- フィトプランクトン(植物性プランクトン):週1〜2回、水槽全体に添加
- アミノ酸系液体フード(アクアフォレスト等):週1〜2回、少量添加
- 給餌後2時間ほど水流ポンプを弱めると食べ残しの吸収効率が上がります
ポリプが展開しない・縮んでいる時のチェックリスト
パイプオルガンコーラルの健康指標はポリプの展開度です。ポリプが展開しない原因を確認しましょう。
- 水質の問題:硝酸塩・リン酸塩が高すぎる/低すぎる。まず水質検査から
- 照明が強すぎる:高PAR環境ではポリプが引っ込む。光量を下げる
- 水流が強すぎる・直接当たっている:ランダム水流に変更
- 近隣サンゴの攻撃:タコアシ・ハンマーコーラルの触手が届いていないか確認
- 導入直後:2〜4週間は環境適応期間。ポリプが展開するまで待つ
- ヨウ素・微量元素不足:パイプオルガンは鉄・ヨウ素の欠乏に敏感。添加剤を確認
増殖と株分け
パイプオルガンコーラルは比較的増殖しやすいサンゴです。
- 骨格の一部をニッパーで切断し、別の場所に設置することでコロニーを増やせます
- 切断後は断面にエポキシを塗って固定し、ポリプが回復するまで穏やかな水流で管理
- 切り取った骨格片(ポリプ付き)を「フラグ」として他のコレクターと交換するのも楽しみのひとつです
パイプオルガンコーラルはサンゴリーフ水槽に赤い骨格と緑のポリプのコントラストをもたらす印象的なサンゴです。水質管理と照明・水流のバランスをとれば長期維持が可能で、独特の美しさは水槽のアクセントになります。

