褐虫藻を持たないサンゴ(サンコーラルなど)の給餌ガイド|光合成するゴニオポーラ・ファンギアの給餌との違い
褐虫藻を持たず給餌で栄養をまかなうサンゴ(サンコーラルなど)と、褐虫藻を持ち照明が欠かせないゴニオポーラ・ファンギアの給餌の違いを解説。エサの種類と与え方、照明の要不要、水質管理、衰えのサインまでまとめます。

この記事のポイント
褐虫藻を持たず給餌で栄養をまかなうサンゴ(サンコーラルなど)と、褐虫藻を持ち照明が欠かせないゴニオポーラ・ファンギアの給餌の違いを解説。エサの種類と与え方、照明の要不要、水質管理、衰えのサインまでまとめます。
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多くのサンゴは、体内に褐虫藻(共生藻)を持ち、褐虫藻の光合成でできた栄養を受け取っています。一方で、褐虫藻を持たない「アゾキサンテラート(非共生)」のサンゴもあり、こうしたサンゴは栄養をプランクトンなどの捕食に頼ります。水槽で給餌がよく話題になるゴニオポーラ(ハナガササンゴ属)やファンギア(クサビライシ科)は、どちらも褐虫藻を持つ光合成サンゴで、照明が欠かせません。本記事では、褐虫藻を持たないサンゴと、光合成をしながら給餌も役に立つサンゴとで、給餌の考え方がどう違うかを解説します。
アゾキサンテラート・サンゴとは
褐虫藻を持たないサンゴは光合成による栄養を受け取れないため、必要なエネルギーを水中のプランクトンなどを捕まえて得ています。水槽では給餌が栄養のほぼすべてになり、給餌が続かないと衰えていきます。
褐虫藻を持たないサンゴの例:
- サンコーラル(Tubastraea属):キサンゴ科のイシサンゴで、オレンジ色などのポリプを持つ群体をつくる。褐虫藻を持たず、栄養は給餌でまかなう
- Dendronephthya属のソフトコーラル:鮮やかな色の肉質の八放サンゴで、褐虫藻を持たない。給餌だけで栄養をまかなう必要があり、上級者向け
本記事で合わせて扱う光合成サンゴ:
- ゴニオポーラ(ハナガササンゴ属、ハマサンゴ科):長いポリプを伸ばす群体性のイシサンゴ。褐虫藻を持つ光合成サンゴで、アゾキサンテラートではない。照明が必要で、給餌は光合成を補うものとして行う
- ファンギア(クサビライシ科):大きな1つのポリプからなる単体のサンゴ。褐虫藻を持つ光合成サンゴで、アゾキサンテラートではない。照明が必要で、給餌は光合成を補うものとして行う
同じ「よく給餌するサンゴ」でも、栄養の土台が給餌なのか照明なのかで、飼い方の優先順位は大きく変わります。
給餌の基本原則
褐虫藻を持たないサンゴの給餌
給餌が栄養の中心になるため、こまめな給餌が欠かせません。回数や量は決め打ちにせず、ポリプの反応と水質(硝酸塩・リン酸塩)を見ながら調整します。ポリプが開いているのを確かめてから与え、食べ残したエサは水質悪化の原因になるので取り除きます。
光合成サンゴ(ゴニオポーラ・ファンギア)の給餌
栄養の土台は照明による光合成で、給餌は補助です。与えすぎると水質が悪化し、かえって調子を崩す原因になります。少量から始め、ポリプや触手を伸ばしている時に与えて、反応と水質を見ながら量を決めてください。
エサの種類と使い分け
植物プランクトン(フィトプランクトン):
- 市販の濃縮品や、自分で培養したものがある
- ワムシなど動物プランクトンを培養する時のエサにもなる
ワムシ(ロティファー):
- ごく小さな動物プランクトンで、ポリプの小さなサンゴにも合わせやすい
- 植物プランクトンを与えて自家培養できる
カイアシ類(コペポーダ):
- 小型の甲殻類の動物プランクトン
- 市販の生きたものを使うほか、ライブロックや水槽内で自然に増えることもある
市販の粉末・液状フード:
- プランクトンを乾燥させた粉末フード(例:Polyp Lab の Reef-Roids。メーカーはゴニオポーラなどのろ過食のサンゴ向けとしている)
- カキの卵などを使った液状フード(例:Reed Mariculture の Oyster-Feast。メーカーはゴニオポーラを含む LPS 向けとしている)
- 使う量はメーカーの表示に従い、少量の飼育水で溶いてから与える
光の要不要と飼育環境
褐虫藻を持たないサンゴは光合成をしないため、栄養のための照明は必要ありません。照明は観察のためのもので、置き場所は水流の当たり方と給餌のしやすさで決めます。
一方、ゴニオポーラとファンギアは褐虫藻を持つ光合成サンゴなので、ほかの光合成サンゴと同じように照明を確保してください。暗めの環境で給餌だけに頼る飼い方は当てはまりません。新しく入れた個体は、いきなり強い光に当てず、様子を見ながら慣らしていくのが安全です。
水質管理の工夫
給餌を増やすと、栄養塩がたまりやすくなります。
栄養塩管理
硝酸塩・リン酸塩は定期的に測定してください。リーフ水槽の推奨値として、リン酸塩は 0.03 ppm 未満、硝酸塩は 0.2 ppm 未満を挙げる資料もあります。給餌の多い水槽ではこれより上がりやすいので、測定値が上がり続けないように管理することが大切です。
- 水換えの量や回数を増やす
- プロテインスキマーで有機物を取り除く
- 食べ残しをこまめに取り除く
栄養塩が高い状態が続くと、藻類が増えてサンゴの表面や周りの岩を覆いやすくなります。
給餌と水流のタイミング
給餌時は水流を弱めるか一時的に止めることで、エサがポリプや触手に届きやすくなります。スポイトで1つずつ与えるターゲットフィーディングも有効です。水流が強いままだと、エサがすぐに流されてサンゴが捕まえられません。給餌が終わったら、忘れずに水流を元に戻してください。
サンゴ別の飼育ガイド
サンコーラル(Tubastraea属)
褐虫藻を持たないため、給餌が栄養の中心です。
- 給餌対象:ポリプの大きさに合う動物プランクトンや、細かい冷凍エサ
- 与え方:ポリプが開いている時に、スポイトで1つずつ
- 衰退サイン:ポリプが開かなくなる、組織がやせて骨格が見えてくる
ゴニオポーラ(ハナガササンゴ)
長期飼育が難しいと言われてきたイシサンゴです。褐虫藻を持つ光合成サンゴなので照明が欠かせず、そのうえで給餌を補助として行います。
- 土台:照明・水流・水質を安定させる
- 給餌対象:細かい粉末・液状フードやワムシなどを少量
- 衰退サイン:ポリプが伸びなくなる、色があせる、組織がはがれて骨格が見えてくる
衰えが見られたら、給餌を増やす前に、照明と水質(硝酸塩・リン酸塩・アルカリ度など)を見直してください。
ファンギア(クサビライシ科)
大きな1つのポリプからなる単体のサンゴです。
- 光要求:必要(褐虫藻を持つ光合成サンゴ)
- 給餌対象:細かい粉末・液状フードや細かい冷凍エサを少量
- 与え方:触手を伸ばしている時に、口の近くへ静かに落とす
給餌はあくまで補助で、照明と水質の安定が先です。
給餌失敗時の対処と衰退の兆候
衰退パターンの認識
初期段階:ポリプの開く時間が短くなる、色が薄くなる 中期段階:エサへの反応がなくなる 末期段階:組織が縮み、骨格が見えてくる
対処方法:
- 褐虫藻を持たないサンゴ:給餌の回数とエサの大きさ・種類を見直す
- 光合成サンゴ:まず照明と水質を見直し、給餌はそのうえで調整する
- 水質を急に変えないよう、水換えは少しずつ行う
小さな隔離水槽に移すと、エサを与えやすく食べ残しも取り除きやすくなります。
実践的な給餌管理ツール
自家培養システムの構築
褐虫藻を持たないサンゴに給餌を続けるには、エサの安定した確保が欠かせません。
最小限の設備:
- ワムシの培養ボトル
- 植物プランクトンの培養ボトル
- 小型のエアーポンプ
培養したワムシを毎日少しずつ取り出して与え、定期的に新しい培養液を足していく「半連続培養」は、続けやすく実用的です。
結論
褐虫藻を持たないサンゴは給餌が栄養のほぼすべてで、こまめな給餌と水質管理の手間がかかります。ゴニオポーラやファンギアは給餌の効果が話題になりますが、褐虫藻を持つ光合成サンゴなので、照明が土台で給餌は補助です。どちらも初心者には難しいサンゴなので、一般的なサンゴの飼育に慣れてからの「ステップアップ」として挑戦することをおすすめします。