爬虫類飼育の法律・規制ガイド|特定動物・CITES・条例
爬虫類飼育の法律・規制を整理。2020年6月改正で特定動物の愛玩目的の新規飼育は原則禁止、無許可飼育は6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。CITES附属書I〜IIIの違い、購入時に確認する書類も紹介します。

この記事のポイント
爬虫類飼育の法律・規制を整理。2020年6月改正で特定動物の愛玩目的の新規飼育は原則禁止、無許可飼育は6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。CITES附属書I〜IIIの違い、購入時に確認する書類も紹介します。
関連品種
爬虫類の飼育を楽しむためには、関連する法律や規制を正しく理解することが不可欠です。知らなかったでは済まされない法的リスクがあり、違反すれば罰則を受けるだけでなく、大切なペットを手放さなければならない事態にもなりかねません。本記事では、爬虫類飼育に関わる主要な法律と規制を2026年時点の運用に沿って体系的に解説します。
特定動物の飼育許可制度
「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)では、人の生命や身体に危害を加える恐れのある動物を「特定動物」として指定しています。爬虫類にも多くの種が含まれます。
- 特定動物に指定されている主な爬虫類: ワニ目全種、ニシキヘビ科・ボア科の大型種の一部(アミメニシキヘビ・ボアコンストリクターなど)、ドクトカゲ科全種、コモドオオトカゲ、コブラ科・クサリヘビ科の全種(特定外来生物のタイワンハブを除く)、ナミヘビ科の一部の属(ヤマカガシ属・ブームスラング属など)
- 2020年の法改正: 令和2年6月1日から、特定動物を愛玩目的などで飼養することが禁止された。改正前に許可を受けて愛玩目的などで飼養していた個体は、改正前の許可の規定が引き続き適用され、その許可のもとで飼養を続けられる(届出だけで飼養を続けられる制度ではない)。愛玩目的で新たに許可を受けることはできない
- 飼育許可の要件(学術・展示目的): 都道府県知事の許可が必要。飼育施設の構造基準(逸走防止措置、鍵付きケージ等)を満たすこと。定期的な施設点検と報告義務がある
- 違反した場合の罰則: 無許可飼育は6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。特定動物を逸走させた場合も罰則の対象となる
- 個体識別措置: マイクロチップの埋め込みなどによる個体識別が義務づけられている。個体の譲渡時にも届出が必要
なお、ペットとして流通量の多いボールパイソンなどのニシキヘビ類は多くが特定動物に該当しない小型種のため、購入前に該当種かどうかをブリーダーや販売業者に確認しておくと安心です。モルフ品種を含めた飼育の基礎はボールパイソンの飼育完全ガイドでも確認できます。
CITES(ワシントン条約)と爬虫類
CITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)は、野生動物の国際取引を規制する条約です。多くの爬虫類がこの条約の対象となっています。
- 附属書I(最も厳しい規制): 商業目的の国際取引が原則禁止。ガラパゴスリクイグアナ(オカイグアナ属。2026年3月5日から附属書I)、インドホシガメ(2019年に附属書IIから格上げ)、ウミガメ類(全種)などが該当。飼育下で繁殖された個体(CB個体)であっても、国際取引には厳しい制限がある
- 附属書II(取引に許可が必要): 輸出国の許可を得れば商業取引が可能。ボールパイソン、グリーンイグアナ、カメレオン類の多く、リクガメ類の多くが該当。ペットショップで販売されている多くの爬虫類がこのカテゴリー
- 附属書III(特定国が保護を要請): 特定の国が自国の個体群を保護するために掲載を求めた種。取引時に原産地証明が必要
- 国内法との関係: CITESは国内では「外国為替及び外国貿易法」(外為法)と「種の保存法」で実施される。不正に輸入された個体の売買も違法となる
- 購入時の確認事項: CITES該当種を購入する場合、正規の輸入であることを確認する。附属書Ⅰの種は登録票の有無を、それ以外は学名と入手経路(国内繁殖か輸入か)を販売業者に確認することが重要
世界最大級のリクガメであるアルダブラゾウガメも附属書IIに掲載されている種です。個別の法規制と飼育環境についてはアルダブラゾウガメの飼育ガイドで詳しく取り上げています。
種の保存法(国内希少種の保護)
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)は、国内外の希少種を保護するための法律です。
- 国内希少野生動植物種: イシガメ科のリュウキュウヤマガメ(ニホンイシガメは未指定だが今後の動向に注意)、南西諸島固有のトカゲやヘビの一部が指定されている。捕獲・譲渡・販売が原則禁止
- 国際希少野生動植物種: CITESの附属書I掲載種が中心。附属書Iに新しく載った種は、政令の改正で国際希少野生動植物種に追加される(2025年11〜12月の第20回締約国会議で附属書Iに上がったオカイグアナ属〔ガラパゴスリクイグアナなど〕は、附属書の発効と同じ2026年3月5日に追加された)。国内での販売・譲渡(無償の譲渡も含む)には「登録票」が必要。登録票なしの販売や譲渡は違法
- 登録制度: 附属書I掲載種の国内取引には、環境大臣の登録を受けた個体であることが条件。登録票は個体に紐づいているため、譲渡時には登録票も必ず引き渡す
- 罰則: 違反した場合は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(法人は1億円以下)。非常に重い罰則であることを認識しておく必要がある
動物愛護管理法と飼い主の責任
動物愛護管理法は、特定動物の規制だけでなく、すべての飼育動物の飼い主に対して責任を課しています。
- 適正飼養の義務: 飼い主には動物の健康と安全を確保する義務がある。爬虫類に適した温度・湿度・餌・飼育スペースを提供しなければならない
- 終生飼養の原則: 動物を飼い始めたら、最後まで責任を持って飼育する義務がある。安易な遺棄は犯罪(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)
- 動物取扱業の登録: 爬虫類の販売、繁殖して販売する行為には「第一種動物取扱業」の登録が必要。無登録での販売は違法。個人間の無償譲渡は対象外だが、反復継続的に行う場合は登録が必要になる場合がある
- 虐待の禁止: 不適切な飼育環境による衰弱も「虐待」に該当しうる。通報があれば行政による立入検査が行われることがある
- 法改正の動向: 動物愛護管理法はこれまで数年おきに改正が重ねられており、マイクロチップ義務化の拡大やオンライン販売の規制強化が継続的に議論されている。最新の改正情報は環境省の公表資料でこまめに確認することをおすすめします
各自治体の条例と規制
国の法律に加えて、各自治体が独自の条例で爬虫類の飼育を規制している場合があります。お住まいの地域の条例を必ず確認しましょう。
- 東京都の場合: 東京都動物の愛護及び管理に関する条例は、特定動物などの飼い主に、動物の行動に常に注意を払うこと、施設を定期的に点検すること、地震や火災などの災害時に逸走させない対策をとることを求めている。また、飼っている動物が人の生命や身体に危害を加えた時は、種類を問わず、事故の時から24時間以内に知事へ届け出る決まりがある。マンションの管理規約と合わせて確認が必要
- その他の自治体: 各都道府県・政令指定都市が独自の動物愛護条例を持っている。飼育可能な種類や条件が異なるため、転居時にも確認が必要
- 集合住宅の規約: 法律上の問題がなくても、マンションや賃貸住宅の管理規約でペット飼育が制限されている場合がある。爬虫類は「ペット不可」の物件でも許可されるケースがある一方、明確に禁止している物件もある
- 騒音・悪臭規制: 生き餌として使用するコオロギの鳴き声や、不適切な管理による臭気は近隣トラブルの原因になる。自治体の騒音・悪臭に関する条例にも注意する
- 外来生物法との関係: 特定外来生物に指定されている爬虫類(カミツキガメ、グリーンアノールなど)は、飼育・運搬・放出が原則禁止。違反した場合、販売目的の飼養や輸入・野外への放出・販売は個人で3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金)、販売目的でない無許可の飼養や譲渡は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法人は5,000万円以下の罰金)
購入時に確認すべき書類と手続き
爬虫類を正規に購入するために、以下の点を必ず確認しましょう。書類の不備は後々の大きなトラブルにつながります。
- 販売業者の登録確認: 動物取扱業の登録番号を確認する。登録の有効期限が切れていないかもチェック。オンラインでの販売も登録が必要。また、爬虫類の販売では、販売業者が事業所で現物を見せ、飼い方などを書面を用いて対面で説明することが義務づけられており、ネット上のやり取りだけでは購入は完結しない
- CITES関係: 附属書I該当種は登録票の確認が必須。附属書II・IIIの種は国内売買に登録は要らないが、学名と入手経路を確認しておく
- 繁殖証明: 国内での飼育下繁殖(国内CB)個体であることの証明。信頼できるブリーダーから購入することで、出自の明確な個体を入手できる
- マイクロチップ情報: 特定動物はマイクロチップの装着が義務。その他の種でも装着していると、万が一の逸走時に個体の識別に役立つ
- 売買契約書: 種名、性別、生年月日(推定)、販売価格、健康状態、保証条件などが記載された契約書をもらう。これがトラブル時の重要な証拠になる
ブリちょくの登録時審査について
ブリちょくでは、ブリーダーから爬虫類を直接購入できます。出品者は登録時に運営の審査を受けており、動物取扱業の対象カテゴリでは登録証・登録番号・有効期限を確認していますが、出品情報の正確性や個体の出自・書類の内容をブリちょくが保証するものではありません。個体の出自や必要な書類は、購入前にブリーダーへ直接確認しましょう。





