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ゴルゴニア類(シーファン・ヤギ類)の飼育ガイド|水流・照明・給餌・種類別管理
ゴルゴニア類(シーファン・シーウィップ)の飼育方法を解説。褐虫藻を持つ光合成型と持たない非光合成型の違い、種類別の特性、必要な水流・照明・給餌の方法、よくある問題と対処法を紹介します。ゴルゴニア類(ヤギ類)は、ゴルゴニンというタンパク質でできた骨軸を持ち、扇形や木の枝状の群体をつくる八放サンゴのなかまの通称です。
この記事のポイント
ゴルゴニア類(シーファン・シーウィップ)の飼育方法を解説。褐虫藻を持つ光合成型と持たない非光合成型の違い、種類別の特性、必要な水流・照明・給餌の方法、よくある問題と対処法を紹介します。ゴルゴニア類(ヤギ類)は、ゴルゴニンというタンパク質でできた骨軸を持ち、扇形や木の枝状の群体をつくる八放サンゴのなかまの通称です。
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ゴルゴニア類(ヤギ類)は、ゴルゴニンというタンパク質でできた骨軸を持ち、扇形や木の枝状の群体をつくる八放サンゴのなかまの通称です。英語では、扇形のものを「シーファン(Sea Fan)」、むち状のものを「シーウィップ(Sea Whip)」と呼びます。かつてはヤギ目(Gorgonacea)としてまとめられていましたが、今の分類では複数の目・科にまたがっており、ゴルゴニア科(Gorgoniidae)はその中の1科です。水族館で目を引く姿から上級者のリーフタンクの憧れの存在ですが、種類によって褐虫藻を持つかどうかが違い、飼い方が大きく変わります。
ゴルゴニアの基本知識
ゴルゴニア類は八放サンゴ(触手が8本のポリプを持つサンゴ)で、タンパク質のゴルゴニンでできた骨軸のまわりを、炭酸カルシウムの小さな骨片を含む組織が覆っています。直径数ミリほどのポリプが群体の表面にたくさん並び、水中に広げた触手でプランクトンなどを捕まえます。
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ブリちょく編集部
生体の飼育情報を専門に扱うブリちょく編集部。獣医療・繁殖の各分野を取材し、初心者にも分かりやすい記事をお届けします。
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共生藻(褐虫藻)の有無(Coral Trait Database の記録による):
- 光合成型(褐虫藻を持つ):カリブ海の Gorgonia属・Antillogorgia属・Eunicea属・Plexaura属・Pterogorgia属・Pseudoplexaura属、インド太平洋の Rumphella属 など
- 非光合成型(褐虫藻を持たない):Diodogorgia属・Swiftia属・Muricella属・Melithaea属(Acabaria属を含む)・Annella属・Ellisella属 など
- 記録が食い違うもの:Guaiagorgia属・Subergorgia属・Junceella属は、褐虫藻ありとなしの両方の記録がある
光合成型は照明を栄養の土台にでき、給餌を補助にできるため比較的飼いやすいとされます。非光合成型は給餌が栄養の中心になり、給餌が続かないと衰えるため上級者向けです。
主な種類と特性
光合成型:Gorgonia属・Antillogorgia属・Eunicea属など
カリブ海産の代表的なゴルゴニア類で、Gorgonia属の Gorgonia ventalina は英名を「コモン・シーファン」という扇形のゴルゴニアです。褐虫藻を持つため照明が欠かせず、給餌は光合成を補うものとして行います。
Muricella属(ムリセラ)
赤・オレンジ・紫などの鮮やかな色合いが特徴で、見栄えのする種。褐虫藻を持たない非光合成型で、プランクトンなどの給餌が欠かせません。
Swiftia属・Diodogorgia属
鮮やかな赤やオレンジの色を持ちますが、褐虫藻を持たない非光合成型です。給餌が栄養の中心で、飼育難易度は高めです。
Melithaea属(Acabaria属を含む)
比較的小型で、赤〜橙色のものが多いなかまです。かつて Acabaria属とされていたものは、今は Melithaea属にまとめられています。褐虫藻を持たない非光合成型で、定期的な給餌と水流で維持します。
Guaiagorgia属・Subergorgia属など
扇面が大きく広がる見た目のものがあります。褐虫藻を持つかどうかは資料の記録が食い違っており、決めつけられません。入手する時は販売者に飼育されていた条件を確かめ、照明と給餌の両方を用意して、ポリプの開き方を見ながら管理するのが安全です。
飼育に必要な機材と環境
水槽・システム
ゴルゴニアは体を固定する場所(ライブロックの側面や水槽の壁)が必要です。
- 水槽の大きさ:大きく育つ種が多いため、成長後の大きさと水流の回り方を考えて余裕のある水槽を選ぶ
- システム:サンプ(オーバーフロー)があると水量を確保しやすいが、外部フィルターでも管理次第で可能
- プロテインスキマー:有機物を取り除き、水質の維持に役立ちます。給餌の多い非光合成型では特に重要です
水流
ゴルゴニアにとって水流はとても大切です。扇が常にゆっくり揺れる程度の、安定した水流を用意します。
- 方向:扇面に対して直角に水が当たるように置くと、扇全体のポリプに水とエサが行き渡りやすくなります
- 強さ:一方向の強い流れが当たり続けるより、向きや強さが変わる水流が適しています。強すぎてポリプが閉じたままになる場合は弱めます
- 器材:ウェーブメーカー(水流ポンプ)で、向きや強さが変わる水流をつくります
水流が弱いと汚れがたまりやすく、組織が傷む原因になります。
照明
- 光合成型:照明が栄養の土台です。新しく入れた個体はいきなり強い光に当てず、ポリプの開き方を見ながら慣らしていきます
- 非光合成型:栄養のための照明は必要なく、照明は観察や水槽の見た目のためのものです。骨軸に藻類が付くと組織が傷む原因になるため、藻類が付きにくい置き場所を選びます
水質パラメータ
| パラメータ | 目標値 |
|---|
| 水温 | 24〜28℃程度 |
| pH | 8.1〜8.3(7.8〜8.5なら許容範囲) |
| 塩分 | 35 ppt(比重 約1.026) |
| アルカリ度(KH) | 7〜11 dKH |
| カルシウム | 380〜450 ppm |
| マグネシウム | 1250〜1350 ppm |
| 硝酸塩(NO3) | 0.2 ppm未満 |
| リン酸塩(PO4) | 0.03 ppm未満 |
表は、リーフ水槽の推奨値をまとめた資料(Holmes-Farley)の値です。給餌の多い非光合成型の水槽では栄養塩が上がりやすいため、測定して上がり続けないように管理します。栄養塩が高い状態が続くと藻類が増え、骨軸に付いて組織を傷める原因になります。
給餌方法
ゴルゴニアは、ポリプが開いている時に給餌します。ポリプが開く時間帯は種や個体によって違うので、よく観察してタイミングを合わせましょう。
推奨餌
- ロティファー(ワムシ)・コペポーダ(カイアシ類):小さな動物プランクトンで、小さなポリプにも合わせやすいエサ
- ブラインシュリンプのふ化直後の幼生(ノープリウス):ポリプの大きさに合うかを見て使う
- 市販の液状フード:カキの卵などを使った微粒子のフード(例:Reed Mariculture の Oyster-Feast)
- フィトプランクトン(植物プランクトン):補助的な給餌として
- 水流ポンプを一時停止するか、流れを弱める
- スポイトやシリンジでエサをポリプの近くにゆっくり流す
- しばらくしてから水流を元に戻す
- プロテインスキマーを一時停止すると、エサが水中にとどまる時間が長くなる(止めた機器は忘れずに戻す)
給餌頻度:光合成型は補助として、ポリプの反応と水質を見ながら与えます。非光合成型は給餌が栄養の中心なので、こまめな給餌が欠かせません。回数と量は、ポリプの反応と硝酸塩・リン酸塩の値を見て調整してください。
よくある問題と対処
ネクローシス(組織壊死)
骨軸から組織が白く溶けるようにはがれる症状。水流不足・水質悪化・栄養塩の上昇、非光合成型では給餌不足が主な原因として考えられます。
- 壊死した部分は、健康な部分に広がらないよう切り取る
- 水流を改善し、水換えを増やす
- 活性炭やプロテインスキマーで水質を改善する
ポリプが開かない
- 水質パラメータの確認(KH・Ca・Mg・NO3・PO4)
- 水流が強すぎる・弱すぎる可能性の調整
- 給餌不足(非光合成型の場合)
- 照明の問題(光合成型の場合、光が強すぎる・弱すぎる)
藻類の付着
汚れや藻類が骨軸に付着すると、組織が傷む原因になります。栄養塩と照明の条件を見直し、付いた汚れはスポイトで水を当てて吹き飛ばすなど、こまめに取り除きます。
色あせ
非光合成型の鮮やかな色は照明で作られるものではありません。色があせて見える時は、組織がやせていないか、給餌と水質を見直すのが基本です。
固定方法
ゴルゴニアはライブロックや水槽の壁面に固定する必要があります。
- 水中エポキシ接着剤:2液性のエポキシパテをこねて、ライブロックとゴルゴニアの基部を固定します
- 釣り糸・結束バンド:ライブロックの穴やくぼみに縛り付けて仮固定する方法
- フラグプラグ:市販の固定用の台座
設置位置は、扇に対して水流が直角に当たる位置が理想です。ライブロックの側面や斜面が適しています。
まとめ
ゴルゴニア類は、美しい扇形の群体と鮮やかな色彩でリーフタンクに格別の存在感をもたらします。まず褐虫藻を持つ光合成型か、持たない非光合成型かを確かめ、それに合わせて照明と給餌の比重を決めることが大切です。光合成型の種から始めて管理に慣れることで、より難しい非光合成型にも挑戦できます。継続的な給餌・水流管理・水質の測定が飼育成功の三本柱です。ブリちょくでは珊瑚・海水魚を愛するブリーダーとのマッチングを支援しており、個体探しに役立てていただけます。