リフュジウム(分離水槽)にチェトモルファやコーリン草を育てて栄養塩を除去する方法を詳しく解説。設置の仕方、照明の逆サイクル点灯、推奨する海藻の種類と管理方法を紹介します。
この記事のポイント
リフュジウム(分離水槽)にチェトモルファやコーリン草を育てて栄養塩を除去する方法を詳しく解説。設置の仕方、照明の逆サイクル点灯、推奨する海藻の種類と管理方法を紹介します。
サンゴ水槽の安定した運用において、硝酸塩(NO₃⁻)とリン酸塩(PO₄³⁻)のコントロールは永遠の課題です。これらの栄養塩が蓄積すると、コケの大量発生・サンゴの白化・成長阻害の原因になります。
リフュジウム(refugium)は、メイン水槽とは別に設けた補助水槽で、海藻(マクロアルジー)を育てることで栄養塩を生物学的に除去(エクスポート)する方法です。プロテインスキマーだけでは取り除けない形態の栄養を、海藻が光合成で吸収することで水質を安定させます。
海藻は光合成によって水中の硝酸塩・リン酸塩・微量元素を吸収して成長します。定期的に海藻を刈り取ることで、吸収した栄養塩を水槽系外に物理的に排出(エクスポート)できます。
また、海藻が繁茂するリフュジウムにはコペポーダなどの微小甲殻類(コペポーダ、アンフィポーダなど)が自然繁殖し、メイン水槽の生体の天然飼料にもなります。カクレクマノミ・ナンヨウハギなどの魚も好んで食べます。
最も一般的なのはサンプ(底面ろ過槽)の一区画をリフュジウムとして使う方法です。スペースに余裕があれば、独立した水槽(20〜40リットル程度)を設けても良いです。
重要なのは、メイン水槽と水が循環していることです。サンプ内のリフュジウム区画ではポンプで自動的に水が循環します。
海藻の成長には十分な光が必要です。
リフュジウム専用LED(植物育成用・6,500K付近の色温度)を使用し、強さはチェトモルファが十分育つ中程度の光量(PAR 50〜150程度)を目安にします。
逆サイクル点灯(リバースフォトピリオド): メイン水槽の照明が消えている夜間にリフュジウムの照明を点灯させる方法です。
メリット: - 夜間の光合成により水中のCO₂を吸収し、pHの夜間低下を抑制 - 24時間均一なCO₂・pHコントロールに近づく
デメリット: - 電気代が若干増える - 設定が少し複雑
多くのリーファーはこの逆サイクル点灯を採用しています。
最も人気の高いリフュジウム海藻です。緑藻の一種で、ほつれた針金のような形状をしています。
メリット: - 成長が速く栄養塩除去効率が高い - メイン水槽に流出してもサンゴへの害がない - 管理が簡単
管理:月に1〜2回、量が増えすぎたらカップ1〜2杯分を取り除いてエクスポートします。
チェトモルファより速く成長する場合があり、大量栄養塩除去に有効です。
注意点:成長が速すぎると胞子放出(ランナウェイ・スポルレーション)を起こし、大量の有機物を水中に放出することがあります。定期的な刈り取りが必須。一部地域では侵略的外来種として野外放出が禁止されています(水槽外には絶対に放出しないこと)。
石灰質の骨格を持つ緑藻。ゆっくり成長し、景観としても美しいです。ただし栄養塩除去速度はチェトモルファより遅めです。
海藻が繁茂したら、定期的に一部を取り除くことが絶対に必要です。刈り取りをしないと海藻が老化・腐敗して、吸収した栄養塩を再放出してしまいます。
目安:月1〜2回、全体量の30〜50%を取り除く
刈り取った海藻は廃棄します(堆肥・野外放出は種によっては問題になるため注意)。
海藻を健康に保つには適切な照明が不可欠です。LED照明の寿命(一般的に2〜3年)を管理し、光量が落ちてきたら交換します。
リフュジウムにコペポーダが豊富に繁殖しているか確認します。夜間にライトを当てるとたくさんの白い点が動いているのが見えれば良好なサインです。
リフュジウムを適切に運用した場合の効果:
リフュジウムはプロテインスキマーや炭素源添加と組み合わせて使うことで効果が最大化されます。単独での使用では限界があることを理解しておきましょう。
リフュジウムはセットアップが簡単で、長期的に安定した水質維持を助けてくれる非常に有効なシステムです。チェトモルファを一株入れてリフュジウムライトを設置するだけで始められるため、まだ導入していない方はぜひ試してみてください。
きれいな海藻が繁茂するリフュジウムは、機能的な側面だけでなく、見ていて楽しい「サブ水槽」としての魅力もあります。