トラキフィリア(オープンブレインコーラル)の飼育ガイド|底置きLPSの水流・給餌・色揚げ
トラキフィリア(Trachyphyllia geoffroyi)は鮮やかなグリーン・レッド・マルチカラーが人気のLPSサンゴです。砂床に置く底置き型サンゴならではの配置・給餌・水流設定、色揚げのコツ、よくあるトラブルと対処法を詳しく解説します。

この記事のポイント
トラキフィリア(Trachyphyllia geoffroyi)は鮮やかなグリーン・レッド・マルチカラーが人気のLPSサンゴです。砂床に置く底置き型サンゴならではの配置・給餌・水流設定、色揚げのコツ、よくあるトラブルと対処法を詳しく解説します。
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トラキフィリアとはどんなサンゴか
トラキフィリア(Trachyphyllia geoffroyi)は、サンゴ目ハナガタサンゴ科に属するLPS(大型ポリプ石サンゴ)で、英名は Open Brain Coral(オープンブレインコーラル) と呼ばれます。インド洋・西太平洋の礁外縁部の砂泥底に分布し、単体で生活する底置き型サンゴです。
最大の特徴は、脳のようにうねった骨格構造とポリプが膨らんだときの丸みのある形。蛍光グリーン・鮮やかなレッド・オレンジ・マルチカラーのバリエーションが豊富で、リーフタンクの彩りとして高く評価されています。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Trachyphyllia geoffroyi |
| 英名 | Open Brain Coral |
| 分類 | 六放サンゴ亜綱・イシサンゴ目 |
| 形態 | 単体(フリーリビング型) |
| 骨格 | カップ型・脳状(共肉が厚い) |
| 飼育難易度 | 初〜中級者向け |
| 推奨水槽規模 | 30L以上 |
飼育環境の設定
配置場所
トラキフィリアは砂床に直置きするのが基本です。岩組みの棚やフラグプラグに固定すると骨格が傾いた状態でポリプの展開が制限されることがあります。
- 砂床(アラゴナイトサンド・サンゴ砂)の上に置く
- 砂の深さは3〜5cm程度あると安定しやすい
- ポリプが完全に膨らめる程度のスペース(直径の1.5倍以上)を確保する
- 他のサンゴとの距離は最低10cm以上:スウィーパー触手が伸びて隣接サンゴを刺傷する
水質パラメーター
| パラメーター | 目標値 |
|---|---|
| 水温 | 24〜27℃ |
| 比重 / 塩分 | 1.023〜1.026 |
| pH | 8.1〜8.3 |
| アルカリニティ(KH) | 8〜11 dKH |
| カルシウム(Ca) | 380〜450 mg/L |
| マグネシウム(Mg) | 1,250〜1,350 mg/L |
| 硝酸塩(NO₃⁻) | 5〜20 ppm |
| リン酸塩(PO₄³⁻) | 0.02〜0.10 ppm |
トラキフィリアは極端な低栄養塩(ULNS)環境よりも、適度に栄養塩がある環境を好みます。硝酸塩が10〜20ppm程度あると発色が良い傾向があります。
照明
| 照度 | PAR目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 低〜中 | 50〜150 μmol/m²/s | 赤系モルフは低照度でも安定 |
| 中〜高 | 150〜300 μmol/m²/s | グリーン系の蛍光発色が増す |
光アクリメーション(光慣らし)が重要:新規導入時は必ず水槽内で最も暗い部分(砂床の端)に置き、2〜4週間かけて徐々に最終設置場所に移します。急な強光は褪色・白化を引き起こします。
水流
トラキフィリアは弱〜中程度の間接水流が適しています。
- コロニーに直接強い水流を当てるとポリプが収縮したままになる
- 間接的なランダム水流(水流が直接当たらないが循環している状態)が理想
- 水流が弱すぎるとデトリタスが骨格上に溜まり病気の原因に
給餌(ターゲットフィーディング)
トラキフィリアは定期的なターゲット給餌で成長と発色が大幅に改善します。
推奨餌料
| 餌料 | 特徴 | 給餌頻度 |
|---|---|---|
| 冷凍ミシスシュリンプ | 高栄養、ポリプのサイズに適する | 週2〜3回 |
| 冷凍コペポーダ | 栄養価高い、小型ポリプにも | 週1〜2回 |
| 細かく刻んだクリル | 嗜好性高い | 週1回 |
| 液体プランクトン(フィトプランクトン) | 共肉への栄養補給 | 週2〜3回 |
ターゲット給餌の手順
- 消灯後30〜60分に給餌する(夜間にポリプが最も開く)
- 水流ポンプを一時停止(または最小にする)
- スポイトでポリプの口(中心の溝状の部分)に直接食べ物を置く
- ポリプが取り込むまで5〜10分待つ
- 食べ残しはサイフォンで除去する
給餌後の注意:翌朝に消化が完了しポリプが再び開く。もし翌日も収縮したままの場合は消化不良か水質問題を疑う。
色揚げのポイント
トラキフィリアの美しい発色を引き出すには、照明・栄養塩・アミノ酸添加のバランスが鍵です。
グリーン系の発色向上
レッド・オレンジ系の発色維持
よくあるトラブルと対処法
ポリプが開かない(1週間以上)
原因と対処
| 原因 | 症状の特徴 | 対処 |
|---|---|---|
| 水流が強すぎる | 昼間も縮んだまま | 水流を間接的に変更 |
| 照光が強すぎる | 輸送直後に発生しやすい | 遮光して徐々に慣らす |
| 水質問題(KH急変・高アンモニア) | 他のサンゴも不調 | 水質検査・換水 |
| 受け取り直後のストレス | 2〜3日で自然回復することも | 静置して様子見 |
骨格が見えてきた(白化・組織損失)
- 一部の白化(一箇所のみ):スウィーパー触手の刺傷・デトリタス溜まりによる局所的なダメージ。隣接サンゴを離し、清掃する
- 全体的な白化(急速):RTN(急性組織壊死)または環境急変のサイン。隔離して水質確認・薬浴検討
- 軽度の退縮(徐々に縮む):栄養塩不足または照明問題。給餌を増やし照明を見直す
砂床から骨格が転がる
- 砂床が浅い・粒が大きすぎると不安定になりやすい
- サンゴ用の小さな砂製台座(ドーナツ型)を使うか、サンゴ専用スタンドで安定させる
ブリーダーから購入するメリット
トラキフィリアは野生採取品(WC)と国内繁殖フラグ(CB)の両方が流通しています。
- 水槽環境への適応度が高い(野生採取品より導入ストレスが少ない)
- 色・形の系統が固定されやすい
- 違法採取・環境負荷の懸念がない
選び方のポイント
まとめ
トラキフィリアは底置きLPSの中でも特にカラフルで存在感があり、定期的な給餌と適切な照明・水流管理で美しい発色を長期維持できます。ULNS環境よりも適度な栄養塩があるナチュラルシステム寄りの水槽で本来の色が出やすいため、初めてのLPS飼育にも適しています。
フラグからの飼育は野生採取品より導入失敗のリスクが低く、ブリーダーから直接購入することで個体の健康状態や系統情報も確認できます。サンゴ水槽に赤・緑・マルチカラーのアクセントを加えたい方にぜひ試してほしいサンゴです。
