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サンゴ水槽のカルシウム・KH・マグネシウム管理|バランスを保つ添加方法と測定の基本
サンゴの骨格形成に欠かせないカルシウム・アルカリ度(KH)・マグネシウムの関係と、バランスを保ちながら添加する方法を解説。測定頻度・添加剤の選び方・カルシウムリアクターの導入まで紹介。サンゴの骨格を作る3大元素:Ca・KH・Mgの役割 サンゴ(特にSPS・LPS)は水中のカルシウム(Ca)とアルカリ度(KH)を使…
この記事のポイント
サンゴの骨格形成に欠かせないカルシウム・アルカリ度(KH)・マグネシウムの関係と、バランスを保ちながら添加する方法を解説。測定頻度・添加剤の選び方・カルシウムリアクターの導入まで紹介。サンゴの骨格を作る3大元素:Ca・KH・Mgの役割 サンゴ(特にSPS・LPS)は水中のカルシウム(Ca)とアルカリ度(KH)を使…
サンゴの骨格を作る3大元素:Ca・KH・Mgの役割
サンゴ(特にSPS・LPS)は水中のカルシウム(Ca)とアルカリ度(KH)を使って炭酸カルシウムの骨格を形成します。この「石灰化」プロセスを24時間継続的に行うため、飼育水中のこれらの元素は放置すると急速に枯渇していきます。そのプロセスを安定して支えるのが、リーフタンク管理の三本柱とも呼ばれるカルシウム・アルカリ度(KH)・マグネシウム(Mg)です。
- カルシウム(Ca):骨格の主材料。ミドリイシなどSPSが多い水槽ほど消費速度が速く、補給が追いつかないと成長停止・退色の原因になる
- アルカリ度(KH):炭酸水素イオンの供給源。pH安定化にも寄与し、3元素のなかで最も消費速度が速い。KHの急激な変動はサンゴにとって大きなストレスとなる
- マグネシウム(Mg):カルシウムとアルカリ度のバランスを保つ「緩衝剤」的役割を担う。Mgが不足するとCaとKHが水中で沈殿しやすくなり、いくら添加しても吸収・維持されない状態に陥る
この3つは化学的に相互に影響し合っており、どれか1つだけを調整しようとしても必ず他の元素のバランスが崩れます。3元素をセットで把握し、バランスを保ちながら管理することが長期維持の絶対条件です。
目標値と測定頻度の目安
| パラメーター | 目標値 | 測定頻度 |
|---|
| カルシウム(Ca) | 380〜450 ppm |
✍️
ブリちょく編集部
生体の飼育情報を専門に扱うブリちょく編集部。獣医療・繁殖の各分野を取材し、初心者にも分かりやすい記事をお届けします。
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| マグネシウム(Mg) | 1,250〜1,350 ppm | 月1〜2回 |
KHは最も変動しやすいため、週2回測定する習慣をつけると変動の傾向が把握しやすくなります。カルシウムとKHの比率が崩れると水中での析出(沈殿)が起きやすくなるため、Ca 400 ppm前後であれば KH 8〜9 dKH を目安に維持するとバランスが取れます。
測定器具はSalifert・RedSea・Hannaなどのテストキットが精度・コストのバランスで定番です。特にKHはHannaのデジタルチェッカーが精度・操作のしやすさから多くのリーファーに支持されています。試薬の劣化や測定誤差を防ぐため、測定は同じ時間帯・同じ機器で行い、1本の試薬を複数回使い回す場合は有効期限を確認してください。
カルシウムとKHを補う添加方法
水換えによる補充(初心者に最推奨)
週10〜15%の定期的な水換えは、高品質な人工海水を使用することでCa・KH・Mgをまとめて補充できる最もシンプルな方法です。水槽規模が小さく、サンゴの収容量が少ない段階ではこれだけで適正値を維持できるケースも多く、複雑な添加剤管理が不要なため失敗リスクも低い。まずはここから始めることを強く推奨します。
二液式添加剤(ドーシング)
カルシウム液(パートA)とアルカリ液(パートB)を別々に添加する方法です。RedSeaの「Coral Colors」シリーズやTropic Marinの製品が代表的で、少量を毎日添加することで安定した補給が可能です。
最重要の注意点:2液を同じ場所・同じタイミングで添加すると化学反応で白濁・析出が発生します。必ず添加場所を変えるか、最低でも数時間の時間差を設けてください。ポンプヘッドを2本使ったオートドーザーを活用すると、添加量・タイミングを自動管理できて非常に便利です。
カルシウムリアクター(上級者・大型水槽向け)
カルシウムリアクターはアラゴナイト(サンゴ砂)をCO2で溶かし、Ca・KH・微量元素を豊富に含むリアクター水を水槽へ還流させる装置です。SPS中心の水槽や100L以上の大型システムで特に真価を発揮します。
初期設定のハードルは高いものの、一度安定すると手間が大幅に減ります。
マグネシウム不足のサインと補正方法
Mg不足の典型的なサインは「添加剤を入れてもCa・KHが思うように上昇しない」「底砂やガラス面に白い析出物が付着する」です。Mgが1,200 ppm以下に低下すると、CaとKHが水中で結合して沈殿するため、いくら補給しても水中濃度が上がらない悪循環に陥ります。
Mgの補充には市販のマグネシウム添加剤(液体または粉末)を使用します。塩化マグネシウム(塩マグ)は安価で効果的ですが、一度に大量添加すると比重・浸透圧に影響するため、1日あたり50〜100 ppmの上昇を上限に、複数日かけて段階的に補正するのが安全です。
補正後は測定を繰り返し、1,270〜1,300 ppmの範囲で安定してから他のパラメーター調整に移りましょう。
ICP分析を活用した総合的な水質管理
テストキットで測定できるのはCa・KH・Mgの3元素が中心ですが、サンゴの健全な成長にはストロンチウム(Sr)・ヨウ素(I)・鉄(Fe)・バナジウム(V)などの微量元素も欠かせません。これらは添加剤や餌から蓄積・枯渇するため、通常の測定では見落としがちです。
ICP水質分析は採取した飼育水をラボに送るだけで30〜70種類の元素を一括測定できるサービスで、数千円から依頼できます。ATI(ドイツ)やRedSea ICP、国内業者など複数の選択肢があります。半年〜1年に1回程度の頻度で実施することで、肉眼では気づきにくい微量元素の過不足を早期発見でき、「なぜかサンゴの調子が悪い」という原因不明の問題解決に繋がることも多いです。
まとめ
サンゴ水槽のCa・KH・Mg管理は「測定→添加→測定」のサイクルを習慣化することから始まります。初心者は定期水換えを軸に管理し、収容サンゴが増えてパラメーターの消費が追いつかなくなってきたら二液式添加剤やオートドーザーの導入を検討します。さらに大規模なシステムに発展させる段階でカルシウムリアクターが選択肢に入ります。
3元素の関係性を理解し、どれか1つに偏らずバランスを保ち続けること。それが長期間にわたって美しく健康なリーフタンクを維持するための、最も確実な道です。
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