鳥のCITES規制と第一種動物取扱業|ブリーダーが知るべき法規制の全知識
ヨウムや大型インコに適用されるCITES附属書規制と、販売ブリーダーに必要な第一種動物取扱業登録の要件・手続きを解説。繁殖記録の管理方法も紹介します。はじめに:ブリーダーが知らなければならない法規制 鳥のブリーダーとして活動するうえで、法律の知識は避けて通れません。

この記事のポイント
ヨウムや大型インコに適用されるCITES附属書規制と、販売ブリーダーに必要な第一種動物取扱業登録の要件・手続きを解説。繁殖記録の管理方法も紹介します。はじめに:ブリーダーが知らなければならない法規制 鳥のブリーダーとして活動するうえで、法律の知識は避けて通れません。
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はじめに:ブリーダーが知らなければならない法規制
鳥のブリーダーとして活動するうえで、法律の知識は避けて通れません。人気の高い大型インコ・オウム類の多くはCITES(ワシントン条約)の附属書に掲載されており、輸出入は外為法に基づく水際の規制、附属書Ⅰ掲載種の国内取引は種の保存法の規制を受けます。また、鳥の販売を業として行うには、動物愛護管理法に基づく第一種動物取扱業の登録が必要です。本記事では、鳥類ブリーダーが押さえておくべき法規制を、環境省などの公式資料に沿って整理します。
CITES(ワシントン条約)と鳥類の規制区分
CITESは、国際取引による野生動植物の絶滅を防ぐための条約で、対象種は附属書Ⅰ・Ⅱ・Ⅲに分けて掲載されています。附属書は締約国会議で見直され、直近では第20回締約国会議(CoP20)の改正が2026年3月5日に発効しました。インコ・オウム類(オウム目)は一部の種を除いて目全体が附属書Ⅱに掲載され、特に絶滅のおそれが高い種が附属書Ⅰに掲載されています。取り扱う種の現在の区分と発効日は、CITESのデータベース「Species+」で確認しましょう。
附属書Ⅰ(最も厳格)
商業目的の国際取引は原則禁止です。インコ・オウム類では、次のような種が附属書Ⅰに掲載されています。
- ヨウム(Psittacus erithacus。2017年1月から附属書Ⅰ)
- スミレコンゴウインコ(Anodorhynchus hyacinthinus)、コンゴウインコ(Ara macao。スカーレットマコー)
- オオバタン(Cacatua moluccensis)、シロビタイムジオウム(Cacatua goffiniana)
- フクロウオウム(Strigops habroptila)
同じコンゴウインコの仲間でも、ルリコンゴウインコやベニコンゴウインコは附属書Ⅱです。種ごとに確認してください。
国内での取引:種の保存法の登録票
附属書Ⅰ掲載種(日本が留保している種を除く)は、種の保存法の「国際希少野生動植物種」です。売る・買う・あげる・もらう・貸す・借りるといった譲渡し等と、販売目的の陳列・広告は原則として禁止されています。
国内で繁殖させた個体、規制の適用前に国内で取得した個体、関税法の許可を受けて輸入された個体などは、環境大臣の登録(窓口は一般財団法人自然環境研究センター)を受ければ、登録票とともに譲渡し等ができます。鳥の生体の登録では、マイクロチップや脚環などの個体識別措置が求められる場合があります。登録個体を広告する時は登録を受けていることなどを表示し、譲り受けた人は30日以内に環境大臣へ届け出ます。登録のない個体の譲渡し等は、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(併科あり)の対象です。
国際希少野生動植物種には、附属書Ⅰ掲載種のほか、渡り鳥等保護条約に基づく通報種も含まれます。取り扱う種が対象かどうかは、環境省の規制対象種一覧で確かめてください。
附属書Ⅱ(国際取引に輸出許可書が必要)
商業目的の国際取引はできますが、輸出国政府が発行する輸出許可書等が必要です。日本の管理当局は経済産業省で、区分や種、取引の内容によっては輸入承認などの手続きも必要になるため、輸入の前に経済産業省で確認しましょう。附属書掲載種の輸入申告は、指定された税関官署でしか行えません。主な対象種は次のとおりです。
CITESが規制するのは国際取引です。国内で繁殖した個体(国内CB)を国内だけで譲渡する場合、附属書Ⅱの種にCITESの手続きは要りません。輸入個体を仕入れる時は、適法に輸入されたことを示す書類の写しを受け取って保管しましょう。
附属書に掲載されていない種
オウム目の附属書Ⅱ掲載から除外されているのは、セキセイインコ・オカメインコ・コザクラインコ・ワカケホンセイインコの4種で、CITESの手続きは不要です。ただし、来歴を説明できるよう繁殖記録は残しておきましょう。
国内法:第一種動物取扱業の登録
動物愛護管理法では、哺乳類・鳥類・爬虫類の販売などを業として営む者は、事業所の所在地の都道府県知事(政令指定都市は市長)の登録を受けなければなりません。
対象となる業種
- 販売(取次ぎ・代理、販売を目的とした繁殖や輸出入を含む)
- 保管・貸出し・訓練・展示
- 競りあっせん・譲受飼養
インターネットに出品して販売する場合も「販売」に当たります。業に当たるか迷う時は、事業所のある自治体の動物愛護管理の窓口に相談しましょう。
登録後の主な義務(販売業の場合)
- 動物取扱責任者の選任:獣医師か愛玩動物看護師の免許、または半年以上の実務経験(もしくは1年以上の飼養経験)と、所定の学校の卒業か団体の試験による資格が要件です。自治体の研修も受けさせます。
- 飼養施設と管理の基準:ケージ等の構造・規模、温度・換気などの管理で環境省令の基準を守ります。
- 標識と広告の表示:事業所に登録番号などの標識を掲げ、ホームページやSNSの広告にも登録番号や動物取扱責任者の氏名などを載せます。
- 帳簿と定期報告:動物の帳簿を備え、毎年度の動物の数を年度終了後60日以内に届け出ます。
- 販売前の現物確認と対面説明:哺乳類・鳥類・爬虫類を一般の購入者に販売する時は、事業所で動物の現在の状態を直接見せ、対面で、書面または電磁的記録を使って説明しなければなりません(動物愛護管理法第21条の4)。説明には飼養方法、生年月日、繁殖者、主な人と動物の共通感染症とその予防方法、関係法令による規制の内容などが含まれ、購入者に署名等で確認してもらいます。インターネット上の掲載だけで販売を完結させることはできません。
- 登録の更新:有効期間は5年で、更新が必要です。
無登録での販売は罰則対象
登録を受けずに営業すると、100万円以下の罰金の対象です。SNSや個人間の取引でも、業としての販売と判断されれば規制の対象になります。
ブリーダーが実務で行うべき記録管理
帳簿と繁殖記録
帳簿には、品種等の名称、繁殖者、生年月日、取得日、仕入れ先、販売日、販売先、販売時の説明の実施状況などを記載します(鳥類は品種等ごと)。あわせて次の記録も残すと、来歴の説明に役立ちます。
- 親鳥の入手元・入手日
- 産卵日・孵化日・羽数
- 雛の性別判定の結果、脚環の番号
輸入個体・登録個体に関する書類
- 輸出国政府が発行した輸出許可書(写し)
- 輸入の承認や検疫・届出に関する書類
- インボイス・パッキングリスト
- 種の保存法の登録票(附属書Ⅰ掲載種。個体とともに譲り渡す)
保存期間
帳簿は記載の日から5年間保存しなければなりません(第一種動物取扱業者の規制(環境省))。CITES関連の書類も帳簿とあわせて保管し、電子データでのバックアップも行いましょう。
輸入時の検疫
海外から鳥を輸入する時は、鳥の種類によって制度が分かれます。
- 家きん(鶏・うずら・だちょう・七面鳥、あひるなどのかも目の鳥類など):家畜伝染病予防法に基づき、農林水産省 動物検疫所の輸入検査を受けます。輸出国政府機関の検査証明書が必要です。
- インコ・オウムなど家きん以外の鳥:感染症法に基づく動物の輸入届出制度(厚生労働省・検疫所)の対象で、輸出国政府機関の衛生証明書を入手して検疫所に届け出ます。
個人輸入も同じ手続き
個人が海外で購入した鳥を持ち帰る場合も同じです。輸入届出制度は輸入動物を原因とする人の感染症を防ぐための制度で、手続きができないと動物は返送か殺処分になります。衛生証明書の要件は事前に検疫所で確認し、CITES掲載種ならCITESの書類も用意しましょう。
まとめ:コンプライアンス遵守がブリーダーの信頼を作る
- CITES附属書の確認:取り扱う種の現在の区分をSpecies+で確認する(CoP20の改正は2026年3月5日発効)
- 種の保存法の確認:国際希少野生動植物種は、登録を受けた個体だけを登録票とともに取引する
- 第一種動物取扱業の登録:継続的な販売は登録が前提。販売前に事業所で現物を見せ、対面で説明する
- 帳簿・記録の保管:帳簿は5年間保存し、毎年度の定期報告を忘れない
- 輸入手続きの遵守:CITESの書類と検疫・輸入届出を済ませてから国内で流通させる
- 定期的な法令確認:附属書や法令は改正されるため、公式情報を確認し続ける
法令を遵守したブリーダー活動は、購入者の信頼につながり、日本の鳥の飼育文化の健全な発展にも役立ちます。「ブリちょく」での出品・販売を安心して続けるために、これらの知識を土台にしてください。







