犬の手作りごはん入門|総合栄養食に足すトッピングと栄養の基本
犬の手作りごはんを安全に取り入れる基本を解説。主食は総合栄養食にして手作りは少量のトッピングに、おやつと合わせた量の目安、与えてはいけない食材、手作りを主食にしたい時は獣医師にレシピを作ってもらう理由まで紹介します。

この記事のポイント
犬の手作りごはんを安全に取り入れる基本を解説。主食は総合栄養食にして手作りは少量のトッピングに、おやつと合わせた量の目安、与えてはいけない食材、手作りを主食にしたい時は獣医師にレシピを作ってもらう理由まで紹介します。
愛犬に安全でおいしい食事を与えたいという思いから、手作りごはんに興味を持つ飼い主が増えています。ただし、犬に必要な栄養素の量は人とは大きく異なり、手作りの食事だけで必要な栄養をそろえるのは簡単ではありません。本記事では、毎日の主食は「総合栄養食」のドッグフードにして、手作りは少量のトッピングやおやつとして足すという、無理のない取り入れ方を解説します。犬を迎える予定の方や、すでに一緒に暮らしている方の参考にしてください。
主食は「総合栄養食」、手作りは少量のトッピングに
「総合栄養食」は、毎日の主要な食事として与えることを目的に、そのフードと水だけで、表示された成長段階の健康を維持できるよう栄養のバランスが整えられたペットフードです。ペットフード公正取引協議会の定める分析試験か給与試験で基準を満たすことを確かめた製品だけが、対象の成長段階とともに「総合栄養食」と表示できます。環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」も、主食には総合栄養食を選ぶよう勧めています。
一方、「間食(おやつ)」や「一般食(おかずタイプ)」などの表示があるフードは、それだけで栄養がそろうようには作られていません。手作りの料理も同じです。そこで、総合栄養食を主食にして、手作りは食いつきをよくしたり食事を楽しくしたりするためのトッピングやおやつとして少量足す形をおすすめします。
犬の栄養の基本:人の食事と何が違うか
犬も人と同じように、たんぱく質・脂質・炭水化物・ミネラル・ビタミンなどを食べ物からとる必要がありますが、必要な量は人と大きく違います。
- たんぱく質: 犬は雑食ですが、人より多くのたんぱく質を必要とします。環境省のガイドラインでは、1,000kcalの食事に含まれるたんぱく質の推奨量を、人(30〜49歳の男性)の23gに対して犬は45gとしています。食べ物からとる必要がある必須アミノ酸も、人の9種類に対して犬は10種類です。
- 塩分: 犬は汗をかく汗腺(エクリン汗腺)が肉球にしかなく、汗で余分な塩分を出せません。人の味付けをした料理やハムなどは、心臓や腎臓に負担をかけます。
- カルシウムとリン: 肉や魚はリンが多く、カルシウムが少ない食材です。例えば、ゆでた鶏ささみは100gあたりカルシウム5mgに対してリン240mgです(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)。肉を中心にした手作り食だけでは、カルシウムが不足しがちです。
- ライフステージ: 子犬期・成犬期・高齢期で必要なエネルギー量や栄養が変わります。総合栄養食は、愛犬の年齢に合った表示の物を選びましょう。
手作りを主食にしたいときは獣医師にレシピを
環境省のガイドラインは、手作りの食事は栄養素の不足が起こりやすいため、栄養成分を計算した上で与えるよう呼びかけています。ビタミン・ミネラルまで過不足なくそろえるには専門の知識が要るので、手作りを主食にしたい場合は、自己流やインターネット上のレシピをそのまま使わず、獣医栄養学に詳しい獣医師に愛犬に合わせたレシピを作ってもらいましょう。サプリメントの種類と量も獣医師に決めてもらいます(人用のサプリメントには犬に毒性を示す物もあります)。食物アレルギーが疑われる時や持病がある時も、自己判断で食材を変えず、まず獣医師に相談してください。
トッピングとおやつの量の目安
環境省のガイドラインは、おやつを1日に必要なエネルギー量の20%以内を目安にし、与えた分だけ主な食事を減らすよう勧めています(ペットフード協会の解説でも、間食の給与限度量は原則として1日のエネルギー所要量の20%以内)。手作りのトッピングもおやつと合わせてこの範囲に収め、はじめはもっと少ない量から試しましょう。
必要なエネルギー量は、ガイドラインの簡易式「安静時のエネルギー要求量(RER)=体重(kg)×30+70」(体重2〜45kgの場合)に、成長段階や活動量に応じた係数をかけて求めます。例えば体重10kgで避妊・去勢済みの成犬に、ガイドラインの計算例と同じ係数1.6を使うと、1日約590kcal、その20%は約120kcalです。ゆでた鶏ささみは100gあたり121kcalなので、30gで約36kcalになります。係数は犬によって変わるため、詳しくは獣医師に相談してください。