水草を水の外で育てる水上栽培(エマースド栽培)の方法を解説。水上葉と水中葉の違い、水上栽培のメリット、必要な用具、湿度管理のコツ、おすすめ品種を紹介します。
この記事のポイント
水草を水の外で育てる水上栽培(エマースド栽培)の方法を解説。水上葉と水中葉の違い、水上栽培のメリット、必要な用具、湿度管理のコツ、おすすめ品種を紹介します。
水草というと水中で育てるものというイメージが強いですが、多くの水草は水の外でも育てることができます。これを「水上栽培」または「エマースド栽培」と呼びます。水上栽培には水中栽培にはない多くのメリットがあり、水草愛好家の間で人気が高まっています。
水草の多くは自然界では水位の変動がある場所に生育しており、水中と水上の両方の環境に適応する能力を持っています。水中で展開する葉を「水中葉(サブマースド)」、水上で展開する葉を「水上葉(エマースド)」と呼びます。
同じ品種でも水中葉と水上葉では見た目が大きく異なります。一般的に水上葉は水中葉よりも葉が厚く硬くなり、色も濃い緑色になります。水中葉は薄く柔らかいのが特徴で、光の透過性が高い繊細な印象です。ロタラ・ロトンディフォリアの場合、水中葉は赤みを帯びた細長い葉ですが、水上葉は丸みのある緑色の葉になります。このように水上と水中で全く異なる姿を見せるのも水草の面白さです。
コケの心配がない 水上栽培の最大のメリットは、水中栽培で悩まされるコケ(藻類)の問題が一切ないことです。水槽管理で最もストレスになるコケの除去作業から完全に解放されます。
管理が簡単 水中栽培ではフィルター、CO2添加装置、水質管理など多くの機器と知識が必要ですが、水上栽培は鉢に土を入れて腰水にするだけという手軽さです。照明も窓辺の自然光で十分な場合が多く、電気代もかかりません。
成長が速い 空気中にはCO2が水中の約50倍含まれているため、水上栽培では水草の成長が非常に速くなります。ストック用の水草を効率的に増やしたい場合、水上栽培が圧倒的に有利です。
花を楽しめる 水中では滅多に見られない水草の花を水上栽培では観察できます。ブセファランドラの白い花やクリプトコリネの独特な筒状の花など、水中では見られない姿を楽しめるのは水上栽培ならではの醍醐味です。
省スペースで多品種を管理 小さな鉢やプラケースで1品種ずつ管理できるため、限られたスペースで多くの品種をコレクションできます。水槽を何本も置くスペースがない方にも適しています。
水上栽培を始めるのに特別な器具はほとんど必要ありません。
容器 プラスチックの鉢、プリンカップ、プラケース、タッパーなど、水が溜められる容器であれば何でも使えます。透明な容器は湿度管理がしやすくおすすめです。パルダリウム用のガラスケースを使えば、インテリアとしても楽しめます。
底床 赤玉土の小粒が最も一般的で入手しやすい選択肢です。ソイルをそのまま使うこともできます。田土(荒木田土)も水草の水上栽培に適しており、栄養が豊富で成長が良くなります。
腰水トレー 鉢底が常に水に浸かった状態を維持するためのトレーです。プラスチックの受け皿や浅めのバットを使います。水深は鉢底から1〜3cm程度が目安で、鉢全体が水没しないよう注意してください。
湿度を保つカバー 高湿度を好む水草には、ラップやフタで覆って湿度を維持します。通気が全くないとカビが発生するため、少し隙間を開けるか、1日1回は換気してください。
1. 容器と底床の準備 容器に底床を3〜5cm入れ、水を注いで底床全体を湿らせます。水が底床の表面からわずかに見える程度の水位が理想です。
2. 水草の植え付け 水中葉の状態で入手した水草をそのまま植え付けます。水中葉は水上環境に移行する際に一度溶けたり枯れたりすることがありますが、根茎や根が生きていれば新しい水上葉が展開してきます。水上葉で入手した場合はそのまま植え付けるだけです。
3. 湿度管理 植え付け直後は特に湿度が重要です。容器にラップをかけて80%以上の湿度を維持します。水上葉が安定してきたら徐々にラップを外して通常の室内湿度に慣らしていきます。
4. 光と温度 窓辺の明るい場所に置くか、小型のLEDライトを使います。直射日光は夏場に容器内が高温になる危険があるため、レースカーテン越しの明るい光が適しています。温度は20〜28℃が適温で、冬場は15℃を下回らないよう注意してください。
5. 肥料と水の管理 腰水の水が減ったら補充し、2週間に1回程度は水を全交換して清潔に保ちます。肥料は液肥を薄めて腰水に加えるか、底床肥料を土に混ぜ込みます。水上栽培は水中よりも成長が速いため、肥料切れに注意してください。
すべての水草が水上栽培に向いているわけではありません。特に水上栽培がしやすい品種を紹介します。
一方、完全水生種のバリスネリアやマツモなどは水上栽培が困難または不可能です。
水上栽培で増やした水草を水槽に導入する際は、水上葉から水中葉への移行期間が必要です。水上葉のまま水槽に沈めると、古い葉は枯れ落ちますが、新しい水中葉が展開してきます。移行期間は品種にもよりますが2〜4週間程度で、この間は見た目がやや乱れますが辛抱してください。
水上葉での栽培は個人の趣味だけでなく、水草の商業生産においても主流の方法です。多くの水草ファーム(栽培農場)は水上葉で大量生産し、出荷しています。水上栽培のメリットは成長速度の速さ、管理の容易さ、輸送時のダメージの少なさです。水上葉は水中葉より厚く丈夫なため、梱包・発送時の衝撃に強く、到着時の状態が安定します。個人で水上栽培を行う場合、増やした水草を友人に分けたり、ブリちょくなどのプラットフォームで販売することも可能です。水上栽培は少ないスペースと機材で始められるため、水草の副業や趣味の延長として取り組む愛好家も増えています。注意点として、水上栽培で使用する土壌や肥料によっては残留農薬の問題が生じることがあるため、エビ水槽向けに出荷する場合は農薬フリーの管理を徹底する必要があります。
ブリちょくでは、水草の水上栽培にも精通したブリーダーから、水上葉・水中葉の両方の状態で水草を購入できます。水上栽培のコツや品種ごとの注意点について、経験豊富なブリーダーに直接質問できるのも大きなメリットです。