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バッタの飼い方・寿命ガイド|トノサマバッタ・ショウリョウバッタの飼育環境と餌
夏の野原を代表するトノサマバッタとショウリョウバッタの飼育方法を解説。寿命と卵から成虫までのライフサイクル・採集・飼育ケース・餌の与え方・脱皮管理・共食いの防ぎ方まで、初心者でも実践できる飼育のコツをまとめました。
この記事のポイント
夏の野原を代表するトノサマバッタとショウリョウバッタの飼育方法を解説。寿命と卵から成虫までのライフサイクル・採集・飼育ケース・餌の与え方・脱皮管理・共食いの防ぎ方まで、初心者でも実践できる飼育のコツをまとめました。
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バッタ飼育の基本:まず種類を知ろう
日本で身近に見られるバッタの代表がトノサマバッタ(Locusta migratoria)とショウリョウバッタ(Acrida cinerea)の2種です。どちらも夏〜秋(7〜11月)に成虫が活動し、子供の昆虫採集の定番として親しまれています。
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ブリちょく編集部
生体の飼育情報を専門に扱うブリちょく編集部。獣医療・繁殖の各分野を取材し、初心者にも分かりやすい記事をお届けします。
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| 体長(♀) | 40〜55mm | 70〜80mm(日本最大のバッタ) |
| 体色 | 褐色〜緑色(個体差あり) | 緑色(♀)・茶褐色(♂) |
| 後翅 | 青色を帯びる | 淡い黄緑 |
| 生息場所 | 草地・農地 | 背の高い草地・土手 |
| 飛翔力 | 強い・長距離 | 中程度 |
| 鳴き声 | ほぼ鳴かない | ♂がキチキチと鳴く(飛翔中) |
相変異について(トノサマバッタ):トノサマバッタは密度が高くなると孤独相から群生相へ移行し、体色・翅の形・行動が劇的に変化します(飛翔力が増す・黒味が増す)。飼育環境では1〜2匹での飼育が基本で、群生相への誘発は避けます。
バッタ飼育 早見表
| 項目 | トノサマバッタ | ショウリョウバッタ |
|---|
| 成虫の寿命 | 2〜3ヶ月 | 2〜3ヶ月 |
| 主な餌 | エノコログサ等イネ科 | エノコログサ等イネ科 |
| 産卵場所 | 土中(深さ10cm以上) | 土中(泡状の卵鞘) |
| 越冬 | 卵で越冬(成虫は越冬しない) | 卵で越冬 |
| 幼虫(赤ちゃん)の餌 | 柔らかいイネ科の若葉 | 柔らかいイネ科の若葉 |
採集のポイントと持ち帰り方
採集時期:7月上旬〜10月下旬が最盛期。特に8〜9月は成虫の個体数が多い。
- トノサマバッタ:河川敷・農耕地周辺の草地・空き地
- ショウリョウバッタ:背の高いイネ科植物(ススキ・チガヤ)が生える土手や野原
- 虫取り網(大型の中目網が最適)
- 飼育ケース(採集後は通気性のある容器へ)
- 保冷バッグ(移動時の高温対策)
持ち帰り注意:高温に弱いため、直射日光・車内放置は厳禁。採集後は速やかに涼しい場所で飼育ケースへ移します。バッタは活発に跳ねるため、ケースは密閉性より通気性を最優先にします。
飼育ケースの設置
バッタは飛翔・跳躍が得意なため、縦に広いケースが理想です。
推奨ケース:昆虫飼育用の高さ30cm以上のプラケース(大型)か、100cm以上のメッシュケージ(布製・通気性高い)。特にショウリョウバッタの♀は体が大きいため、窮屈な環境ではすぐに傷つきます。
- 土・ヤシガラ土を3〜5cm敷くと自然に近い環境に
- 床材なし(清潔管理優先)でも可。ただし足場として木の枝・人工植物を入れる
- 細めの木の枝を複数立てる
- 生きたイネ科植物(エノコログサ・チガヤ)を鉢ごと入れると餌兼足場になる
- 温度:25〜32℃(低温に弱い)
- 湿度:50〜70%(乾燥気味でOK)
- 直射日光は避けつつ明るい場所に置く
バッタの飼育ケースと採集道具の選び方
バッタ飼育で失敗が多いのは、ケースが低くて跳ねた際に頭や翅を傷める点と、蒸れて弱る点です。高さのある大型のケースか通気性の高いメッシュ製のケージを選び、細い枝や鉢植えのイネ科植物を足場として立てるだけで、環境は自然に近づきます。採集は網の大きさと持ち帰り時の高温対策で結果が変わるので、大きめの捕虫網と保冷できるバッグを用意すると安心です。以下は通気と高さを確保できる、ホームセンターや通販で入手しやすい定番品です。
餌の与え方
バッタは草食性で、主にイネ科植物を食べます。毎日新鮮な餌を与えることが健康維持の基本です。
- エノコログサ(ねこじゃらし):最もよく食べる定番
- チガヤ・ススキ・オヒシバ・メヒシバ:野草
- ムギ若葉・イネ若葉:家庭で育てた食用植物も利用可
- キャベツ・レタスの葉:補助的に利用可(水分過多に注意)
- 野草は農薬のない場所から採集する
- 水洗いして余分な土汚れを落とす
- 1日おきに新鮮な草と交換(古くなると食べなくなる)
- ケース内の底に直置きするか、小さな花瓶に挿して水をやると長持ちする
水分補給:草から十分な水分を摂取するため、別途の水入れは不要です。ただし高温時には霧吹きで葉に水を吹きかける程度の補水が有効です。
脱皮と成長の管理
バッタは5〜6回の脱皮を経て成虫になります(幼虫期間:5〜7齢)。脱皮直後は体が柔らかくケース内の他のバッタに食べられることがあるため注意が必要です。
- 食欲が落ちる
- 静かになって足場にしがみついている
- 体色がやや暗くなる
- 脱皮中は絶対に触れない
- 足場(枝・茎)がしっかりしているか確認
- 脱皮後6〜12時間は体が固まるまでそっとしておく
脱皮後の食欲回復:脱皮翌日から食欲が戻ります。新鮮な草を豊富に与えてください。
産卵と卵の管理
成虫になったバッタは交尾・産卵を行います。土の中に産卵するため、飼育ケースに深さ10cm以上の土(赤玉土・腐葉土混合)を用意しましょう。
産卵数:1回の産卵で20〜100粒の卵嚢(卵鞘)を産みます。ショウリョウバッタは特に大量の泡を含んだ卵鞘を産む特徴があります。
越冬:日本のバッタは成虫のまま越冬しません。秋の終わりとともに成虫は死亡し、土中の卵で越冬して翌年春に孵化します。
- 産卵後の土はそのまま容器に入れて屋外の日陰で冬越しさせる
- 春(4〜5月)に幼虫が孵化するのを待つ
- 乾燥しすぎないよう霧吹きで定期的に湿らせる
バッタの寿命はどのくらい?卵から成虫までのライフサイクル
トノサマバッタ・ショウリョウバッタの成虫の寿命は2〜3ヶ月程度です。8月に成虫になった個体は10〜11月頃には自然に寿命を迎えます。卵の期間まで含めた「一生」で見ると、どちらの種も約1年のサイクルで世代交代しています。
| 段階 | 期間の目安 | 内容 |
|---|
| 卵 | 夏の卵:約1ヶ月で孵化/秋の卵:越冬して翌年4〜5月に孵化 | 土中の卵鞘の中で過ごす |
| 幼虫 | 約1〜1.5ヶ月 | 5〜6回の脱皮を経て成長する |
| 成虫 | 約2〜3ヶ月 | 交尾・産卵を行い、秋の深まりとともに寿命を迎える |
トノサマバッタは暖かい地域では年に2回世代交代(年2化)することが知られています。初夏に産みつけられた卵はひと夏のうちに孵化し、秋に2度目の成虫が現れます。一方、秋に産みつけられた卵は土の中でそのまま冬を越し、翌年の春に孵化します。飼育下で秋に産卵させた卵の管理は前述の「産卵と卵の管理」の通りです。
飼育でどこまで長生きさせられる?
野外の成虫は気温の低下とともに死んでいきますが、飼育下で新鮮な餌と適温(25〜32℃)を保てば、消耗が抑えられて野外より長く観察を楽しめることがあります。長生きさせるポイントは次の3つです。
- 新鮮なイネ科の草を切らさない:古い草しかないと食欲が落ち、消耗が早まる
- 温度を保つ:低温に弱いため、秋以降は日当たりのよい室内などでケースの温度を確保する
- 過密飼育を避ける:ストレスと共食いのリスクを減らす
共食いはなぜ起こる?防ぎ方
バッタは草食性ですが、脱皮直後の柔らかい個体や弱った個体が他の個体にかじられる「共食い」が起こることがあります。原因の多くは、狭いケースでの過密飼育と餌不足です。予防策は次の通りです。
- 1つのケースに入れる数は2〜3匹までにとどめる
- 餌の草を常に十分な量入れておく
- 脱皮前のサイン(食欲が落ちて静かに足場にしがみつく)が見えた個体は別ケースに隔離する
飼育上のその他の注意点
- ケースは毎週清掃して糞・古い草を除去する
- 外来種・農薬汚染地帯の個体は採集を避ける
- 飼育後に野外に逃がす場合は、採集した場所の近くに限定する
まとめ:バッタ飼育の楽しみ方
バッタは採集から繁殖・孵化までを1年サイクルで楽しめる、自然観察教材として優れた昆虫です。特に子供にとっては「野外採集→飼育→産卵→孵化」という生命のサイクルを目の前で体験できる貴重な機会になります。
餌の草を自分で摘んできたり、土を用意して産卵場所を作ったりと、手間はかかりますがその分だけ愛着が湧きます。夏休みの自由研究テーマとしても最適で、観察記録と合わせて取り組むと深い学びになるでしょう。