犬のマイクロチップ義務化と登録手順|2022年改正法対応
2022年6月施行の改正動物愛護法によるマイクロチップ義務化の概要と、装着・登録の手順、飼い主が行う変更届を解説します。マイクロチップ義務化の背景と法改正の概要 2022年6月1日、改正動物愛護管理法が施行され、ブリーダーやペットショップなど犬・猫の販売業者に対してマイクロチップの装着と登録が義務化されました。

この記事のポイント
2022年6月施行の改正動物愛護法によるマイクロチップ義務化の概要と、装着・登録の手順、飼い主が行う変更届を解説します。マイクロチップ義務化の背景と法改正の概要 2022年6月1日、改正動物愛護管理法が施行され、ブリーダーやペットショップなど犬・猫の販売業者に対してマイクロチップの装着と登録が義務化されました。
マイクロチップ義務化の背景と法改正の概要
2022年6月1日、改正動物愛護管理法が施行され、ブリーダーやペットショップなど犬・猫の販売業者に対してマイクロチップの装着と登録が義務化されました。これは、飼い主不明の迷子犬・迷子猫を確実に保護者へ返還するための画期的な制度改革です。
従来の鑑札・狂犬病予防注射済票は外れるリスクがありましたが、マイクロチップは体内に埋め込む永続的な個体識別手段です。法改正の直接のきっかけは、自然災害時や事故による逸走で保護された動物の身元特定が困難なケースが後を絶たなかったこと、そして殺処分数の削減という社会的要請にあります。環境省のデータによると、保護された犬の返還率は従来約40〜50%にとどまっていましたが、マイクロチップが普及した地域では返還率が大幅に上昇するとされています。
なお、2022年6月以前に飼い始めた既存の飼い主については「努力義務」であり、罰則はありません。しかし新たに犬を迎える場合、ブリーダーや販売店が出荷前に装着・登録を済ませることが法律で定められています。
マイクロチップの仕組みと規格
マイクロチップはガラス製の小さなカプセル(直径約2mm、長さ約12mm)にICチップとアンテナが封入されたものです。専用のリーダー(読み取り機)から微弱な電波を当てると、チップが電力を受けて固有の15桁の数字コードを発信します。電池不要のパッシブ型のため、半永久的に機能します。
日本で使用が認められているのは国際標準規格ISO 11784/11785に準拠した134.2kHz帯のチップです。過去には125kHz帯の旧規格チップも流通していましたが、現在の環境省指定登録機関への登録にはISO準拠品が必要です。動物病院で装着する際は必ずISO規格品かどうか確認しましょう。
装着方法は注射器に似た専用インジェクターを使い、犬の首の後ろ(肩甲骨の間)の皮下に埋め込みます。所要時間は数秒で、ワクチン接種程度の痛みとされています。装着後は体内の結合組織と癒着して固定されるため、通常は移動しません。
登録手順:環境省指定登録機関への届出
マイクロチップを装着しただけでは不十分です。「犬と猫のマイクロチップ情報登録」(公益社団法人日本獣医師会が運営する環境省指定登録機関)への登録が必要です。
ブリーダーから購入した場合の手順
販売業者が装着・登録を完了した状態で引き渡されるため、購入者は「所有者変更登録」を行うだけです。
- 販売業者から「マイクロチップ装着証明書」と登録番号を受け取る
- 環境省指定登録機関のWebサイト(または書面)で所有者変更手続きを行う
- 変更登録料:1,000円(クレジットカード・コンビニ払い可)
- 登録完了後、メールで確認通知が届く
所有者変更の手続きは引き渡しから30日以内に行うことが義務付けられています。忘れると販売業者の情報が残ったままになり、迷子になったときに連絡が取れないという事態が起こります。
自分で病院に連れて行って装着する場合
既存の飼い犬にマイクロチップを装着する場合、かかりつけの動物病院で施術を受けた後、同様に登録機関へ新規登録を行います。登録料は1,000円、装着費用は動物病院により異なりますが3,000〜5,000円程度が相場です。
狂犬病予防法との関係と鑑札の扱い
マイクロチップ登録を行うと、自治体への犬の登録(狂犬病予防法に基づく登録)と紐付けができます。環境省指定登録機関と住所地の市区町村が情報を共有する仕組みが整備されており、マイクロチップ登録のみで狂犬病予防法上の犬の登録とみなされる自治体も増えています。
ただし、毎年の狂犬病予防注射と注射済票の取得は引き続き必要です。これはマイクロチップ制度とは別の義務であり、毎年4〜6月頃に実施される集合注射または動物病院での個別接種で対応します。注射済票は迷子時の身元確認に加えて、感染症予防の公衆衛生上の証明として機能するため、廃止はされていません。
なお、旧来の民間登録機関(AIPO、AIPetなど)に登録済みのチップがある場合、環境省指定登録機関への追加登録が推奨されます。保護施設や動物病院が使用するリーダーは環境省指定機関のデータベースを参照するため、旧登録だけでは身元確認ができない場合があります。
引っ越し・譲渡・死亡時の変更手続き
マイクロチップ登録は一度行えば終わりではありません。情報が常に最新状態でなければ、本来の目的を果たせません。
- 引っ越し・連絡先変更:環境省指定登録機関のWebサイトから変更手続きを行う(無料)
- 個人間譲渡・里親に出す場合:新しい所有者が所有者変更手続きを行う(1,000円)
- 死亡した場合:死亡届を提出してデータを抹消する(無料)
特に引っ越し後の住所・電話番号の更新を忘れる飼い主が多いとされています。万が一の迷子時に旧住所・旧電話番号では連絡が取れないため、転居後はすみやかに変更手続きを済ませましょう。
ブリーダーから迎える際の確認ポイント
ブリちょくをはじめとするブリーダー直販プラットフォームで犬を迎える際、マイクロチップに関して以下の点を必ず確認してください。
装着・登録済みかどうか:2022年6月以降に生まれた子犬でブリーダーが販売する場合、法律上マイクロチップ装着・登録が必須です。引き渡し前に装着証明書とチップ番号を書面で受け取ってください。
チップ番号の記録:万が一リーダーが反応しなかった場合に備え、番号をスマートフォンにも保存しておきましょう。
所有者変更のサポート:信頼できるブリーダーは所有者変更の手続き方法を丁寧に説明してくれます。手続き方法を全く案内しない業者は要注意です。
マイクロチップは「迷子時の保険」であると同時に、責任ある飼い主であることの証明でもあります。手続きを確実に完了させて、愛犬との絆をより安心なものにしてください。