ミドリガメ(アカミミガメ)の飼育ガイド|法律・水槽環境・冬眠管理の完全解説
アカミミガメ(ミドリガメ)の飼育方法を徹底解説。2023年6月の特定外来生物指定(条件付き特定外来生物)の影響・家庭で飼う場合のルール・水槽と陸場の環境設定・水質管理・冬眠の誘導と管理・よくある病気と予防まで、現在飼育中・これから迎えたい方向けの実践ガイドです。

この記事のポイント
アカミミガメ(ミドリガメ)の飼育方法を徹底解説。2023年6月の特定外来生物指定(条件付き特定外来生物)の影響・家庭で飼う場合のルール・水槽と陸場の環境設定・水質管理・冬眠の誘導と管理・よくある病気と予防まで、現在飼育中・これから迎えたい方向けの実践ガイドです。
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アカミミガメ(英名: Red-Eared Slider、学名: Trachemys scripta elegans)は、耳の後ろの赤い斑紋が特徴的なカメで、「ミドリガメ」の名でも知られています。かつては縁日の露店や熱帯魚店で定番商品として広く販売され、日本でも最も多く飼育されているカメのひとつです。しかし、生態系への影響から法規制の対象となり、2023年6月以降は所有・飼育に関するルールが変わりました。本記事では、現在の法律状況を正しく理解した上で、適切な飼育方法を解説します。
2023年6月からの法規制について(重要)
2023年6月1日より、アカミミガメは「条件付特定外来生物」に指定されました。これにより、以下のルールが適用されます。
飼育中の個体
- 現在飼育している個体は引き続き飼育可能(届け出は不要)
- ただし放流・逃がすことは厳禁(罰則あり)
- 販売(有償の譲渡)や、不特定または多数の人への配布(頒布)は禁止。特定の人に無償で譲ることは可能だが、終生飼養できる相手を選ぶ
- 飼育中の個体を終生飼養することが求められる
新規入手について
- 2023年6月1日以降、ペットショップやブリーダーから購入することは禁止(販売・購入・頒布はいずれも禁止)
- 知人などから無償で譲り受けた個体を家庭で飼うことは、申請や届出なしで可能(迎える場合は終生飼養が前提)
罰則
野外に放したり販売したりした場合は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科される場合があります。
本記事は、すでにアカミミガメを飼育している方を対象とした飼育ガイドです。飼育中の個体は最後まで責任を持って世話をしてください。
アカミミガメの基本プロフィール
- 甲長: オス 最大20cm前後 / メス 最大28cm前後(メスの方が大きくなる)
- 体重: 1〜2kg(成体)
- 寿命: 20〜40年(適切な管理のもとでは非常に長命)
- 原産地: 北米(ミシシッピ川流域)
- 食性: 雑食性(幼体時は動物質が多め、成体は植物質の割合が増える)
- 特徴: 頭部両側の赤い斑紋、オリーブグリーンの甲羅、水陸両生
アカミミガメは非常に丈夫で長生きする生き物です。「小さいからいい」と思って迎えた個体が30〜40年生きるケースは珍しくなく、終生飼養の覚悟が必要です。
飼育環境の設定
水槽サイズ
幼体(甲長5cm程度)から急成長するため、長期的に使えるサイズの水槽を最初から用意することをお勧めします。
| 甲長 | 推奨水槽サイズ |
|---|---|
| 〜10cm(幼体) | 45〜60cm |
| 10〜20cm(中型) | 60〜90cm |
| 20cm以上(成体) | 90〜120cm以上(大型プラ舟も選択肢) |
成体のメスは甲長28cm前後に達することがあり、大型の容器が必要になります。
陸場(バスキングスポット)の設置
カメは変温動物のため、体温調節のために日光浴(バスキング)が必要です。
- 陸場面積: 体全体が乗れる大きさを確保(甲羅の1.5〜2倍以上)
- 設置方法: 浮き島タイプ・岩場レイアウト・専用プラットフォームなど
- 位置: カメが楽に登り降りできる傾斜をつける
照明・バスキングライト
- バスキングライト(保温球): 陸場に照射し、バスキングスポットを30〜35℃に保つ
- UVBライト: カルシウム代謝・甲羅形成に必要なビタミンD3の合成を助ける。UVB 5.0〜10.0のランプを使用し、12〜16時間点灯
- 屋外での日光浴: 可能であれば週に数回、直射日光(窓ガラス越しはUVBを通さないため不可)に当てることが理想
水質管理
アカミミガメは大食で糞の量が多く、水を汚しやすい生き物です。
- フィルター: 外部フィルターまたは上部フィルターを使用。水量の3〜5倍の処理能力が目安
- 水換え: 週1〜2回、全水量の1/3〜1/2を目安に交換
- 水温: 20〜28℃(理想は25℃前後)。水中ヒーターで冬季の急激な低下を防ぐ
- 水深: 甲羅の長さの2〜3倍程度(十分に泳げる深さ)
食事と栄養管理
餌の種類
- 配合飼料(専用ペレット): カメ専用の浮上性ペレットが主食として便利。カルシウムやビタミンが配合されており、バランスが良い
- 野菜: レタス・チンゲン菜・小松菜などの葉物野菜。ほうれん草は少量にとどめる(シュウ酸過多)
- 水生植物: ウキクサ・マツモなどは自然の草食行動を促す
- 動物性タンパク質: 幼体にはブラインシュリンプ・赤虫。成体には週1〜2回程度(過多は水質悪化の原因)
- カルシウム補給: カトルボーン(イカの甲)を水中に入れておく、またはレプカル等のカルシウム粉末をまぶす
給餌頻度
- 幼体(〜1年): 1日1〜2回
- 成体(1年以上): 2〜3日に1回(成体は消化が遅い)
- 冬眠期: 給餌停止
注意: 食べ残しはすぐに除去する。カメは水中で食べ、そのまま排泄するため水を汚しやすい。
冬眠の管理
日本の冬でも屋外飼育のアカミミガメは冬眠します。室内飼育ではヒーターを使い冬眠させない管理も可能ですが、自然な生理サイクルとして冬眠させることも選択肢です。
冬眠させる場合の手順
- 11月頃から水温低下に伴い食欲が落ちる → 給餌を段階的に減らし、10〜12℃以下になったら完全停止
- 水温が10℃以下になると休眠状態に入る
- 容器を屋外の霜が当たらない場所(屋根下・玄関先等)に移す。完全に凍結する場所は禁止
- 水深を増やし(30〜40cm)、落ち葉や水草を入れると落ち着く
- 3月頃の水温上昇とともに自然に目覚める → 少量から餌を再開
冬眠させない場合
- 26〜28℃を維持できるヒーターを設置
- 通常の飼育を年間通して継続できる
- ただし電気代がかかり、長期外出時の管理に注意
よくある病気と予防
甲羅の軟化・不正形成(メタボリックボーンディジーズ)
UVB不足・カルシウム不足が原因。甲羅が柔らかくなる・波打つなどの症状が現れます。
- 予防: UVBライトの適切な使用、カルシウム補給、定期的な日光浴
肺炎・上部気道感染
水温の急変・低体温・ストレスで発症しやすい。口を開けてゼーゼー音がする場合は要注意。
- 予防: 水温の安定管理(急激な温度変化を避ける)
眼瞼炎(目の腫れ)
ビタミンA不足が原因のことが多い。目が腫れて開かなくなります。
- 予防: バランスの良い食事(ビタミンAを含む野菜・市販カメフード)
食欲不振
水温低下・病気・ストレスが原因。冬眠期以外の食欲不振は早めに獣医師に相談。
終生飼養への覚悟
アカミミガメは寿命が20〜40年と非常に長い生き物です。小さなミドリガメとして迎えても、成長すると甲長20〜28cm前後になり、維持費・飼育スペースも相応のものが必要になります。
現在飼育中の方へ: 手放したい場合は、地域のカメの引き取り施設・動物園(※受け入れは施設ごとに異なる)・自治体の特定外来生物引き取り窓口に相談してください。絶対に川・池・湖沼に放流しないでください。生態系を壊す重大な行為となります。
アカミミガメは正しいケアのもとで健康に長生きします。責任ある飼育が、この生き物との長い関係を豊かなものにしてくれるでしょう。