ホウシャガメの飼育ガイド|マダガスカル産リクガメの特徴・法規制・ケージ・食事管理
マダガスカル固有種のホウシャガメ(Astrochelys radiata)の飼育方法を解説。放射状の美しい甲羅模様の特徴・CITES附属書I掲載による法的規制・ケージと温度管理・草食性の食事ポイント・長寿種としての長期飼育管理まで詳しく紹介します。

この記事のポイント
マダガスカル固有種のホウシャガメ(Astrochelys radiata)の飼育方法を解説。放射状の美しい甲羅模様の特徴・CITES附属書I掲載による法的規制・ケージと温度管理・草食性の食事ポイント・長寿種としての長期飼育管理まで詳しく紹介します。
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ホウシャガメとは
ホウシャガメ(Radiated Tortoise、学名:Astrochelys radiata)はマダガスカル南部の乾燥地帯に固有の大型リクガメです。黒地に明るい黄色の放射状ライン(和名「放射」の由来)が描かれた甲羅が最大の特徴で、世界で最も美しいリクガメの一種として広く知られています。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Astrochelys radiata |
| 甲長(成体) | 35〜50cm |
| 体重(成体) | 10〜20kg |
| 推定寿命 | 150年以上(記録:「Tu'i Malila」個体は推定188年生存) |
| 原産地 | マダガスカル南部(乾燥低木林・サバンナ) |
| 保護状況 | CITES附属書I掲載・絶滅危惧IA類(CR) |
ホウシャガメは「世界で最も長寿の動物の一つ」として記録されており、飼育するということは数世代に渡るコミットメントを意味します。
日本での法規制(飼育前に必ず確認)
ホウシャガメはCITES(ワシントン条約)附属書Iに掲載されており、商業目的での国際取引は原則禁止です。
日本で飼育する場合の主な規制
| 規制 | 内容 |
|---|---|
| 輸入 | CITES 輸入許可証が必要(商業目的は事実上不可) |
| 国内取引 | 附属書I種は第一種動物取扱業登録なしでは売買不可 |
| 個人繁殖個体 | 合法的に入手した個体から生まれたCB個体は国内取引可能だが書類管理が必要 |
購入・入手する場合は、正規のCITES書類(輸入許可証、出所証明)が揃っているかを必ず確認してください。書類不備の個体は没収・罰則の対象になります。
飼育環境の設定
ケージサイズ
ホウシャガメは活動量が多いため、十分な広さが必要です。
成体の長期飼育では屋外放し飼い(適切な温度が保てる期間)が理想的です。
温度管理
マダガスカル南部の乾燥地帯出身のため、比較的高温を好みます。
| 場所 | 温度 |
|---|---|
| バスキングスポット | 40〜45℃ |
| 活動ゾーン | 28〜35℃ |
| 夜間全体 | 20〜25℃ |
| 年間最低温度 | 18℃以上(10℃以下は危険) |
冬季の管理:日本の冬は気温が低すぎるため、屋内でのヒーター管理が必要です。他のリクガメと異なり、冬眠させないことが推奨されます。
湿度
原産地は乾燥地帯であり、湿度は40〜60%が適切です。ケツルメリクガメ(スルカタ)と近い環境設定が参考になります。
ただし、バスキングエリアでの温浴(週1〜2回の温水浸浴、30℃・20分)は代謝・水分補給・排泄促進に有効です。
UVBライト(屋内飼育時)
- UVI 2.9〜4.0(T5HO 12%〜のランプが目安)
- 照射時間:12〜14時間
- 自然光での屋外飼育が可能な季節は積極的に外に出す
食事管理
ホウシャガメは完全な草食性で、野生では果実・植物の葉・多肉植物を食べます。
推奨の食事構成
| 食材 | 割合 | 備考 |
|---|---|---|
| 高繊維葉野菜(小松菜・チンゲン菜・タンポポ葉) | 50〜60% | カルシウムが豊富なものを主軸に |
| 牧草(チモシー・オーチャードグラス) | 10〜20% | 消化管の繊維摂取に |
| 季節の野草(タンポポ・オオバコ) | 10〜20% | 自然採集時は農薬・除草剤に注意 |
| 果実(リンゴ・パパイヤ・桑の実) | 5〜10% | 糖分が多いため少量 |
与えてはいけないもの
- タンパク質の多い食材(昆虫・肉・豆腐・チーズ等):腎臓への負担
- キャベツ・ブロッコリー:ゴイトロゲンを含み甲状腺機能に影響
- アボカド・玉ねぎ・ニンニク:毒性あり
カルシウム補給
- 牡蠣殻粉末(ボレー粉)またはカトルボーンを常時設置
- ビタミンD3は十分な自然光またはUVBがある環境では過剰補給しない
給餌頻度
成体:毎日または1日おき。新鮮な野菜を朝に与え、食べ残しは夕方に除去します。
繁殖と卵管理
適切な飼育環境下では繁殖が可能です。
- 交尾時期:春〜初夏(4〜7月)
- 産卵数:1回に3〜12個
- インキュベーション:29〜31℃で80〜100日
- 性別温度依存型(TSD):29℃でオス傾向、31℃でメス傾向
繁殖記録の管理はCITES書類の維持においても重要です。
長寿種としての長期飼育の心構え
ホウシャガメは飼育下でも50〜100年以上生存する可能性があります。
- 飼育環境の長期的な見直し:飼育者のライフステージ変化に伴う環境整備が必要
- 後継者問題:信頼できる引き継ぎ先の確保
- 獣医との長期関係構築:爬虫類専門の獣医師との関係を早期から構築する
- 書類管理:CITES関連書類は個体の生涯にわたって保管が必要
まとめ
ホウシャガメはその比類ない美しさと長寿から、爬虫類飼育の「到達点」ともいえる存在です。法的な要件をクリアした合法個体を入手し、適切な高温乾燥環境と草食性の食事管理を徹底することで、何十年もの長きにわたる飼育が可能です。その長い時間の中で、世代を超えた絆を持つ動物として非常に特別な体験を提供してくれる種です。
