金魚のマツカサ病・穴あき病ガイド|エロモナス感染症の早期発見と治療
金魚に多いエロモナス菌感染による2大疾患「マツカサ病(松かさ病)」と「穴あき病(潰瘍病)」の症状・進行・治療法を詳しく解説。グリーンFゴールド・エプソムソルト浴の使い方、潰瘍部位への直接塗布、新規個体のトリートメント手順まで実践的に紹介します。

この記事のポイント
金魚に多いエロモナス菌感染による2大疾患「マツカサ病(松かさ病)」と「穴あき病(潰瘍病)」の症状・進行・治療法を詳しく解説。グリーンFゴールド・エプソムソルト浴の使い方、潰瘍部位への直接塗布、新規個体のトリートメント手順まで実践的に紹介します。
エロモナス感染症とは
金魚のマツカサ病と穴あき病は、いずれもエロモナス(Aeromonas)菌による細菌感染症です。エロモナス菌は淡水環境に自然に存在する常在菌ですが、水質の悪化・ストレス・外傷などによって金魚の免疫力が低下すると急速に感染・発症します。
エロモナス感染症の2大病型
| 病型 | 主な病原菌 | 主な症状 |
|---|---|---|
| マツカサ病(松かさ病) | Aeromonas hydrophila(運動性)等 | 鱗の逆立ち・腹水・体の膨張 |
| 穴あき病(潰瘍病) | Aeromonas salmonicida(非運動性)等 | 鱗脱落・組織潰瘍・出血 |
どちらも発見が遅れると急速に悪化し、治療が困難になる前に早期対処が極めて重要です。
マツカサ病(松かさ病)
症状と進行
マツカサ病は体液調節機能の崩壊(腹水・浮腫)によって発症します。
初期症状
- 鱗の一部が立ち上がり始める(特に側腹部・尾部付近)
- 軽度の食欲低下
- 体表の光沢が少し失われる
進行期の症状
- 全身の鱗が「松かさ(まつかさ)」のように逆立つ
- 腹部が膨らむ(腹水貯留)
- 目が突出する(ポップアイを伴うことがある)
- 底に沈んでいることが増える
- 食欲が著しく低下
治療法
マツカサ病は進行が速く、完治が難しい病気のひとつです。早期発見・早期治療が唯一の対策です。
薬浴の手順
- 病魚を隔離水槽(10〜20L)に移す
- エプソムソルト(MgSO₄)浴:1Lあたり1g(腹水軽減に有効)または食塩水(0.5%)
- 抗菌薬:グリーンFゴールド顆粒(フラン系)またはエルバージュエース(ニフルスチレン酸ナトリウム含有)を規定量添加
- 水温を25〜26℃に安定させる(免疫活性化)
- 24時間エアレーション継続
- 3日に1回、半量換水しながら薬浴を継続(最大7〜10日)
注意:末期症状(全身の鱗逆立ち+腹部膨満)では治癒率が非常に低くなります。苦痛緩和のための安楽死も選択肢として動物病院に相談してください。
水槽全体の対処
- 発症個体を隔離後、残った水槽の換水を30〜50%行う
- フィルター掃除(生物ろ材は残す)
- 底砂の掃除と有機物の除去
- 投薬(水槽全体への予防的抗菌剤使用は慎重に。有益バクテリアへの影響に注意)
穴あき病(潰瘍病)
症状と進行
穴あき病は体表の組織が壊死・潰瘍化する病気です。
初期症状
- 鱗の1〜数枚が充血・発赤
- 鱗の根元が出血している
- 鱗が剥がれ始め、下の皮膚が露出する
進行期の症状
- 鱗が複数枚脱落し、赤い肉が露出(「穴」のように見える)
- 潰瘍部分が拡大し、筋肉層まで達することがある
- ヒレが溶けてきたり(ヒレぐされ)、二次感染が進む
- 食欲低下・遊泳異常
治療法
穴あき病は体表病変が主なため、マツカサ病よりは治療しやすい傾向がありますが、進行すると菌が血液に入り(菌血症)致命的になります。
薬浴の手順
- 病魚を隔離水槽に移す
- 食塩水(0.5〜0.7%)で体力維持と浸透圧補正
- 抗菌薬:グリーンFゴールド顆粒またはパラザンD(オキソリン酸)を規定量使用
- 潰瘍が大きい場合:医療用ヨード系消毒薬(ポビドンヨード希釈液)を綿棒で患部に直接塗布(水中での薬浴と併用)
直接塗布の手順
- 病魚を網で掬い、濡らしたタオルの上に置く(30秒以内)
- ポビドンヨード10倍希釈液を綿棒に含ませ患部に直接塗布
- 水槽に戻す
- 1日1回×3〜5日継続
二次感染の防止
穴あき病の傷口は水カビ菌(サプロレグニア)の侵入口になりやすいです。薬浴中に白い綿状のものが見えたら、グリーンFリキッド(メチレンブルー系)を追加して水カビを同時に治療します。
共通の予防策
水質管理
エロモナス感染症の最大の誘因は水質の悪化と過密飼育です。フィルターのろ過能力を超えた飼育数を避け、定期的な換水で硝酸塩・アンモニアを低く保つことが最善の予防です。
トリートメントの徹底
新しい金魚を導入する際は、別水槽で1〜2週間のトリートメントを行い、症状が出ないことを確認してから本水槽に合流させます。多くのエロモナス感染症は持ち込みによって広がります。
ストレス軽減
- 水温変化を1日1℃以内に抑える
- 過密・強い水流・急激な水換えを避ける
- 照明時間を規則的にし、夜間は暗くする
マツカサ病・穴あき病は重篤化すると治療が非常に難しくなります。毎日の観察で「いつもと違う」を素早く察知し、異常を発見したらすぐに隔離・治療を始めることが金魚を守るために最も重要な習慣です。