メインコンテンツへスキップゲンゴロウの繁殖・飼育完全ガイド|産卵・幼虫管理から成虫飼育まで | ブリちょく昆虫| ✍️ ブリちょく編集部
ゲンゴロウの繁殖・飼育完全ガイド|産卵・幼虫管理から成虫飼育まで
ゲンゴロウの繁殖を成功させるための完全ガイド。産卵環境の整え方・幼虫の共食い防止・陸上化管理・成虫の飼育方法まで、日本産水生昆虫の代表種を自分で殖やすためのノウハウを解説します。ゲンゴロウ(源五郎)は昔は田んぼや池で普通に見られた水生昆虫ですが、農薬の影響・水田の消失・外来種の増加により現在は個体数が激減し、ナミ…
この記事のポイント
ゲンゴロウの繁殖を成功させるための完全ガイド。産卵環境の整え方・幼虫の共食い防止・陸上化管理・成虫の飼育方法まで、日本産水生昆虫の代表種を自分で殖やすためのノウハウを解説します。ゲンゴロウ(源五郎)は昔は田んぼや池で普通に見られた水生昆虫ですが、農薬の影響・水田の消失・外来種の増加により現在は個体数が激減し、ナミ…
ゲンゴロウ(源五郎)は昔は田んぼや池で普通に見られた水生昆虫ですが、農薬の影響・水田の消失・外来種の増加により現在は個体数が激減し、ナミゲンゴロウは環境省のレッドリストに掲載される希少種となっています。飼育・繁殖を通じて種の保全に貢献できる水生昆虫として、今マニアの間で注目を集めています。
ゲンゴロウの基礎知識
ゲンゴロウ(学名:Cybister chinensis)は甲虫目(コウチュウ目)ゲンゴロウ科に属する水生昆虫です。成虫は体長3〜4cm程度の楕円形で、背面は暗緑色・光沢があり、中型の水生甲虫としては国内最大級の種です。
ゲンゴロウの特徴と生態
- 飛翔能力:成虫は夜間に飛んで水場を移動できる(密閉した蓋が必須)
- 肉食性:成虫・幼虫ともに肉食で、水生昆虫・小魚・両生類の幼体なども捕食
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ブリちょく編集部
生体の飼育情報を専門に扱うブリちょく編集部。獣医療・繁殖の各分野を取材し、初心者にも分かりやすい記事をお届けします。
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気門呼吸:後胸の気門から空気を取り込む。水中でもこまめに水面に上がる
完全変態:卵→幼虫(3齢)→蛹(陸上)→成虫越冬:成虫で越冬できる(冬季は活動が低下)成虫の飼育環境
飼育容器のセットアップ
ゲンゴロウの成虫飼育には60cm水槽か、大型のプラスチック容器(30L以上)が適しています。
水質の基本:
- 水温:15〜25℃(高温は体力低下・白濁の原因)
- pH:6.5〜7.5
- 水深:15〜20cm(後ろ足を引っかけて休める深さ)
重要な設備:
- 蓋(必須):飛翔能力があるため脱走防止の蓋は絶対に必要
- 陸地:コルク板・流木・石などで一部を水上に露出させ、休む場所を作る
- 植物:水草(マツモ・アナカリス)を入れると隠れ場所・産卵場所になる
- フィルター:水質維持のため外掛け式や底面式フィルターが有効
餌の与え方
- 冷凍赤虫(冷凍ユスリカ幼虫):最も入手しやすく栄養バランスが良い
- 活きアカムシ
- 小型の活きコオロギ
- ミルワーム
- ドジョウの短冊切り(週2〜3回)
与えすぎは水質汚染の原因になります。食べ残しは速やかに取り除きましょう。
繁殖に挑戦する
ゲンゴロウの繁殖はやや難易度が高いですが、適切な環境を整えれば繁殖に成功できます。
繁殖に必要な環境
繁殖には専用の産卵セットを別に用意します。成虫の飼育水槽では幼虫が成虫に捕食されてしまうため、必ず隔離が必要です。
産卵セットの内容:
- 大型プラスチックケース(60×45cm程度)
- 水深10〜15cm
- 水草(特にホテイアオイ・アナカリスなど浮草・茎の多い水草)
- 陸地(コルク板・ウィローモス付き流木)
産卵と産卵植物
メスは水草の茎や葉の組織内(または水辺の土中)に産卵管を刺して産卵します。産卵植物として特に有効なのはアヤメ・カキツバタなどの水辺の植物の茎です。苔や柔らかいコルクにも産卵することがあります。
春〜夏(4〜8月)が産卵シーズンで、水温が20〜25℃になると産卵行動が活発になります。
交尾の確認:
交尾はオスがメスの背中に乗って行います。オスの前脚には吸盤状の構造があり、メスの背中にしっかりつかまります。交尾後2〜4週間で産卵が始まります。
幼虫の管理
ゲンゴロウの幼虫飼育で最も注意すべきは「共食い」です。幼虫は1齢〜3齢まで3回脱皮して成長しますが、異なる令(サイズ)が同居すると大きい幼虫が小さい幼虫を捕食します。
幼虫の個別管理(必須)
産卵した卵が孵化したら(水温20℃で約1〜2週間)、幼虫を1匹ずつ小さな容器(200〜300ml程度)に分けて個別管理します。
個別管理の方法:
- 小型の計量カップ・プラスチックカップでOK
- 水深は5〜10cm
- 底にウィローモスや木綿糸などの足場を少量入れる
- 毎日水換え(幼虫の代謝が高く水が汚れやすい)
幼虫の餌
1・2齢幼虫:
- 冷凍赤虫(1〜2本を1日1〜2回)
- 活きミジンコ・活きアカムシ
幼虫は体のわりに大食漢です。特に3齢幼虫は急速に成長するため、十分な餌を与えないと体が小さいまま蛹化してしまいます。
蛹化と陸上管理
3齢幼虫が十分成長すると(孵化から約1〜2ヶ月)、陸上に上がって蛹化します。この陸上化の管理がゲンゴロウ繁殖の山場の一つです。
上陸のサイン
幼虫が水面に頻繁に顔を出したり、容器の壁を伝って上へ移動しようとする行動が見られたら上陸のサインです。
上陸・蛹化環境の作り方:
- 湿らせた土(赤玉土・黒土)を深さ10cm以上入れた容器を用意
- 幼虫が自然に土に潜り込めるよう、水と陸が接する傾斜を作る
- 容器に蓋をして、土が乾燥しないよう管理(過湿も禁物)
- 蛹化から羽化まで約2〜3週間(20℃環境)
蛹室は土の中に作られます。掘り起こしは厳禁で、完全に羽化して成虫が這い出るまで静かに待ちます。
ブリーダーからゲンゴロウを入手する
現在、野生のゲンゴロウを採集することは地域によって禁止されており、自然採集個体の入手は年々難しくなっています。ブリちょくでは希少な水生昆虫のブリーダーも出品しており、適法に入手できる国内CB個体を購入することができます。繁殖経験のあるブリーダーから直接アドバイスを得ながら飼育を始められるのは、大きな利点です。
まとめ
ゲンゴロウの飼育・繁殖は、一般的な甲虫類と比べて「水質管理」「幼虫の個別管理」「陸上化の誘導」という独自の手順が必要です。しかし、正しい知識と環境さえ整えれば、日本の水辺の象徴ともいえるゲンゴロウを自分の手で繁殖させることができます。希少種の保全にも貢献できる水生昆虫飼育の世界に、ぜひ挑戦してみてください。