メインコンテンツへスキップタガメ・ゲンゴロウの飼い方入門|水生昆虫飼育の基本ガイド | ブリちょく昆虫| ✍️ ブリちょく編集部
タガメ・ゲンゴロウの飼い方入門|水生昆虫飼育の基本ガイド
希少な水生昆虫タガメとゲンゴロウの飼育方法を解説。必要な設備・水質管理・餌の与え方・繁殖まで、水生昆虫飼育の基礎知識をまとめたガイドです。水生昆虫の魅力と飼育の概要 タガメ(Lethocerus deyrolli)とゲンゴロウ(Cybister japonicus)は、かつて日本の水田や湿地に広く生息していた水生…
この記事のポイント
希少な水生昆虫タガメとゲンゴロウの飼育方法を解説。必要な設備・水質管理・餌の与え方・繁殖まで、水生昆虫飼育の基礎知識をまとめたガイドです。水生昆虫の魅力と飼育の概要 タガメ(Lethocerus deyrolli)とゲンゴロウ(Cybister japonicus)は、かつて日本の水田や湿地に広く生息していた水生…
水生昆虫の魅力と飼育の概要
タガメ(Lethocerus deyrolli)とゲンゴロウ(Cybister japonicus)は、かつて日本の水田や湿地に広く生息していた水生昆虫です。農薬使用の普及・水田の圃場整備・湿地の消失により生息数が激減し、現在ではタガメは環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類、ナミゲンゴロウ(ゲンゴロウ)は絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。
野生個体の捕獲は禁止されていませんが、個体数保護のため採取は最小限にとどめましょう。タガメ(Kirkaldyia deyrolli)は2020年に特定第二種国内希少野生動植物種へ指定され、販売・頒布を目的とした捕獲・譲渡等は禁止されています(個人による捕獲・飼育自体は可)。そのため販売目的の入手・譲渡はできません。水生昆虫は他の昆虫と比べて飼育難易度が高い反面、独特の生態と動きが観察でき、飼育の醍醐味を存分に味わえます。
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ブリちょく編集部
生体の飼育情報を専門に扱うブリちょく編集部。獣医療・繁殖の各分野を取材し、初心者にも分かりやすい記事をお届けします。
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必要な設備
タガメの場合
タガメは大型の水生昆虫(体長5〜6cm)で、カエル・小魚を捕食する肉食性です。単独飼育が基本で、同種混泳は共食いのリスクがあります。
- 水槽:30〜45cm(1匹につき30cm以上を目安)
- 水深:10〜15cm(深すぎると溺れるリスクがある)
- 陸地:コルクや流木で水面から出られる足場を必ず設ける
- フィルター:エアリフト式(強い水流はNG)または投げ込みフィルター
- 蓋:必須。タガメは飛翔能力が高く脱走する
- 照明:蛍光灯または弱めのLED(直射日光は水温上昇の原因になるため避ける)
ゲンゴロウの場合
ゲンゴロウは体長3〜4cm、泳ぎが巧みで動きが活発です。タガメ同様に肉食性ですが、同種での複数飼育も可能(ただし餌不足時は共食いあり)。
- 水槽:30〜60cm(複数飼育は大きめ)
- 水深:20〜30cm(十分な水量が水質安定に必要)
- 底砂:細かいソイルや砂(産卵基質になる)
- フィルター:スポンジフィルターまたは外掛けフィルター(弱め)
- 蓋:必須(ゲンゴロウも飛翔能力あり)
- 水草:マツモ・アナカリスなど(隠れ場所・水質浄化に役立つ)
水質管理と水温
野生のタガメ・ゲンゴロウは主に止水または緩流の水域に生息しています。強い水流は体力を消耗させるため、フィルターの水流は最弱に設定しましょう。
適正水質パラメーター
- 水温:18〜28℃(最適は20〜25℃)
- pH:6.5〜7.5(中性付近が安全)
- 塩素:カルキ抜きした水道水を使用
夏場は水温が30℃を超えると体調を崩しやすくなります。直射日光を避け、必要に応じて冷却ファンや水槽用クーラーで水温をコントロールしてください。冬場は最低15℃を下回らないようヒーターで管理します。自然に合わせて冬は低水温(10〜15℃)で越冬させることもできますが、食欲が落ちて活動が鈍くなります。
水換えは週1〜2回、水量の20〜30%を目安に。食べ残しや糞は毎日スポイトで除去し、水質悪化を防ぎましょう。
餌の与え方
タガメの餌
- 金魚・メダカ(体長の1/2〜2/3サイズが捕食しやすい)
- カエル(飼育下では金魚が最も入手しやすい主食)
- 冷凍ピンクマウス(栄養価が高く保管が楽)
- 餌の頻度:週2〜3回(1回の捕食で数日は食べないことが多い)
タガメは「待ち伏せ型」の捕食者です。水草や足場の陰に隠れて獲物に近づく行動は観察していて飽きません。餌を入れたら見守りながらタガメの捕食行動を楽しみましょう。
ゲンゴロウの餌
- 冷凍赤虫(最も手軽で食いつきが良い)
- 冷凍ブラインシュリンプ(幼虫期に有効)
- レプトミン(ウーパールーパー用フード)を水に濡らして沈める
- 小型の活魚・活きエビ
- 餌の頻度:1日1〜2回(食べ残しは必ず除去)
ゲンゴロウ幼虫は成虫以上に獰猛な肉食者です。幼虫を育てる場合は必ず個別飼育し、十分な餌を確保しましょう。
繁殖に挑戦する
飼育に慣れたら繁殖にも挑戦できます。どちらの種も繁殖は可能ですが、ゲンゴロウの方が成功率が高い傾向があります。
タガメの繁殖
- 繁殖期:5〜8月(水温24〜27℃が最適)
- オスが水面の流木や枯れ木に産卵床を作り、メスが産卵
- 産卵後はメスを隔離(共食いリスク)
- オスが卵に水をかけながら孵化まで保護する(父性行動)
- 孵化後の幼虫は初齢から独立して捕食するため個別管理が必要
ゲンゴロウの繁殖
- 繁殖期:4〜7月
- メスは水草の茎や底砂に産卵管を刺して産卵
- 卵は2〜3週間で孵化
- 幼虫は3齢を経て陸上で蛹化(10〜20日程度)
- 羽化後の成虫が水に戻るまで陸上環境(湿った土)を用意する必要あり
病気・トラブルの対処
水生昆虫は魚のように一般的な病気薬は使えません。主なトラブルと対処法を押さえておきましょう。
脱走:最多のトラブル。隙間を完全に塞いだ蓋を必ず使用する。脱走した個体は乾燥に弱く、床で発見したらすぐに水槽へ戻す。
餌食いが悪い:水温低下・直近の脱皮前後・産卵後などが原因のことが多い。生き餌のサイズを小さくしてみる。
溺死(タガメ):足場が不十分で水面から出られない場合に起こる。コルク板や流木を必ず設置する。
感染症:体表に白いカビ状のものが付着した場合、即座に隔離し清潔な水に換える。抗菌効果のある薬(市販の昆虫用抗菌スプレー)を薄めて使う方法もあるが、昆虫への影響を考慮して少量から試みる。
水生昆虫の飼育は日本の希少な生態系を身近に感じられる、奥深い趣味です。飼育を通じて自然環境保全の重要性にも気づかせてくれる存在として、大切に飼育していただければと思います。