バラの果実「ローズヒップ」の収穫タイミングと保存方法、種取りから食用・クラフト活用までを詳しく解説します。
この記事のポイント
バラの果実「ローズヒップ」の収穫タイミングと保存方法、種取りから食用・クラフト活用までを詳しく解説します。
バラの花が終わった後、花托(かたく)が膨らんで橙〜赤く色づいた実を「ローズヒップ」と呼びます。ビタミンC含有量が柑橘類の数十倍とも言われる栄養価の高い果実で、ハーブティー・ジャム・クラフト素材など多方面に活用できます。品種改良のための種取りにも欠かせないローズヒップの正しい収穫・活用方法を解説します。
すべてのバラにローズヒップが着くわけではなく、品種によって差があります。
豊富に実を着ける品種 - ロサ・カニナ(ドッグローズ):欧州原産の野生種。ハーブティー用として最もよく使われる - ロサ・ルゴサ(ハマナス):大きくて赤いローズヒップが着き、食用・観賞用双方に人気 - ロサ・モエシー:深紅の細長いローズヒップが美しく、観賞用に人気 - ロサ・グラウカ(サンギネア):小ぶりな赤い実が鈴なりになる観賞的な品種 - 一季咲きオールドローズ:アルバ、マイカ、ダマスク系の一季咲き品種
実が着きにくい品種 多くのモダンローズ(HTローズ・フロリバンダ)は花弁数が多い八重咲きのため、花粉が少なく受粉しにくいため実をあまり着けません。
ローズヒップの成熟のサインは以下の通りです。
完熟しすぎると実が柔らかくなりすぎて扱いにくく、未熟では酸味が強すぎます。橙〜赤で適度な弾力があるタイミングが最適です。日本では10月下旬〜12月頃が多い品種の収穫ピークです。
収穫方法
ハサミかナイフでヒップの付け根(萼の下)から切り取ります。素手で作業すると細かいとげが刺さることがあるので、薄手のゴム手袋があると便利です。
保存方法
ローズヒップティー
乾燥させたローズヒップを砕いて、熱湯で5〜10分蒸らします。鮮やかな赤〜橙色で、酸味と甘みのあるフルーティーな風味が特徴です。ビタミンCを逃がさないためには熱湯より少し冷めた湯(85℃前後)で蒸らすのがよいとされています。
ハイビスカスや生姜・シナモンとブレンドすると風味が豊かになります。
ローズヒップジャム・マーマレード
ブリちょくでバラ・花を探す
認証済みブリーダーから直接購入できます
この記事に関連するバラ・花の出品をブリちょくで探してみましょう。認証済みブリーダーから直接購入できます。
ローズヒップを縦半分に切り、内部の種と毛(刺毛)を丁寧に除去します。この刺毛が喉に刺さると不快感があるため、除去は徹底しましょう。
実を鍋に入れ、等量の水で柔らかくなるまで20〜30分煮てから、砂糖(実の重量の70〜80%)を加え、さらに20〜30分煮詰めます。レモン汁を加えると色がきれいに出ます。
ローズヒップシロップ
煮出した液を濾してシロップにします。砂糖を加えて保存性を高め、炭酸水に割ったり、ヨーグルトやアイスのソースとして使えます。
ローズヒップの最も重要な使途の一つが、新品種作出のための種取りです。
種の取り出し
成熟したローズヒップを縦に切り、内部の種を取り出します。種の周囲に付いた刺毛をよく洗い流し、水に浮いた種(不稔)を取り除きます。沈んだ種が充実した有効種です。
低温処理(層積処理)
バラの種は休眠が深く、そのままでは発芽しにくい場合があります。湿らせたバーミキュライトや水苔に包んで4〜5℃の冷蔵庫で2〜3ヶ月保管することで発芽率が上がります(成層処理・ストラティフィケーション)。
播種と発芽
低温処理後、室温(20〜25℃)の発芽培地(種まき用土)に播種します。発芽は1〜6ヶ月かかることもあり、気長に待つ忍耐が必要です。
鮮やかな赤いローズヒップはドライフラワーアレンジやリース作りに使えます。完全に乾燥させたローズヒップは色が保たれ、クリスマスや秋のリースに彩りを添えます。
茎についたままのローズヒップをグリセリン溶液(1:2のグリセリン:水)に2〜3週間浸けると、しっとりとした状態で保存でき、より自然な質感のドライ素材となります。