メインコンテンツへスキップコノハムシ(フィリウム)の飼育ガイド|葉っぱにそっくりな擬態昆虫の飼い方と繁殖 | ブリちょく昆虫| ✍️ ブリちょく編集部
コノハムシ(フィリウム)の飼育ガイド|葉っぱにそっくりな擬態昆虫の飼い方と繁殖
コノハムシ(Phyllium属)は葉に完璧に擬態した擬態昆虫の代表格です。正確な温湿度管理・食草の選び方・脱皮のサポート・単為生殖での繁殖方法まで、コノハムシを上手に育てるための基本知識を解説します。
この記事のポイント
コノハムシ(Phyllium属)は葉に完璧に擬態した擬態昆虫の代表格です。正確な温湿度管理・食草の選び方・脱皮のサポート・単為生殖での繁殖方法まで、コノハムシを上手に育てるための基本知識を解説します。
コノハムシとはどんな昆虫か
コノハムシ(Phyllium属:コノハムシ科 Phylliidae)は、東南アジアから南アジア・オーストラリア北部にかけて生息する昆虫で、その名の通り「木の葉」に完璧に擬態した独特の姿を持ちます。翅が葉脈まで精巧に再現されており、静止しているときは本物の葉と見分けがつかないほどです。
現在ペットとして流通している主な種は以下のとおりです。
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ブリちょく編集部
生体の飼育情報を専門に扱うブリちょく編集部。獣医療・繁殖の各分野を取材し、初心者にも分かりやすい記事をお届けします。
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| Phyllium giganteum | マレーシア | 10〜11cm | 最大種・鮮やかなグリーン |
| Phyllium philippinicum | フィリピン | 6〜7cm | 入手しやすい定番種 |
| Phyllium bioculatum | スリランカ・インド | 7〜8cm | 赤みがかった斑点が特徴 |
| Phyllium westwoodii | マレーシア | 8〜9cm | 葉の縁が凹凸状 |
コノハムシは単為生殖(メスだけで繁殖できる孤雌生殖)が可能な種が多く、オスなしでも繁殖ができます。オスが流通することはまれで、メスだけの飼育が一般的です。
飼育容器と環境設定
飼育容器
コノハムシは縦方向に移動しながら食草を食べる昆虫のため、容器の高さが重要です。
- 最低でも体長の3倍以上の高さを持つ容器(成虫期は30〜35cm以上)
- 通気性の良いメッシュ蓋または側面がメッシュのテラリウム
- 脱皮時に逆さまにぶら下がるため、蓋または上部のメッシュ部分で脱皮できるスペースを確保
プラスチック製の虫かごよりも、観音開きのバタフライエンクロージャーや前面扉開きのグラステラリウムが管理しやすく人気です。
温度・湿度管理
コノハムシは熱帯〜亜熱帯原産のため、日本の冬には加温が必要です。
| 条件 | 目標値 |
|---|
| 温度 | 25〜28℃ |
| 湿度 | 60〜80% |
| 夜間最低気温 | 20℃以上 |
湿度の維持方法
1日1〜2回、壁面に霧吹きで水を吹きかけます。コノハムシは水滴を舐めて水分補給をするため、この霧吹き管理が給水にもなります。ただし、過湿によってカビが生えやすくなるため、霧吹き後はしっかり通気させてください。
食草の選び方と管理
コノハムシは生きた葉(植物)しか食べません。代表的な食草は以下のとおりです。
主要な食草(日本でも比較的入手しやすい)
- キイチゴ属(ブラックベリー・ラズベリーなど)の葉
- バラの葉(無農薬のもの)
- サルトリイバラ(Smilax属)の葉
- ゴレンシ(スターフルーツ)の葉(温暖地なら鉢植え可)
食草提供のコツ
- 農薬が付着していない葉を使用する(自家栽培・無農薬市販品が理想)
- 茎を水に差した状態で飼育容器に立てかけると長持ちする(水コップに茎を立てる際は、コノハムシが落下しないよう蓋をする)
- 古くなって乾燥した葉は取り除き、新しい葉と交換する
幼虫の管理と脱皮のサポート
コノハムシは卵から孵化した直後(L1幼虫)が最も繊細な時期です。
幼虫期の注意点
- 幼虫は成虫より温度・湿度の管理が重要
- 脱皮する際は必ず上にぶら下がれる場所が必要(脱皮失敗の主な原因はぶら下がれないこと)
- 脱皮中は絶対に触らない・動かさない
- 脱皮直後は体が柔らかく傷つきやすいため24時間は安静にさせる
脱皮失敗への対処
脱皮途中で止まってしまった場合、容器内の湿度不足が原因のことがほとんどです。霧吹きで軽く湿度を上げ、静かに見守ってください。皮が体に残る脱皮不全の場合は、温水(30℃程度)で濡らした綿棒で残皮を柔らかくしてから丁寧に取り除くことがあります。
繁殖方法(単為生殖)
コノハムシのメスは交尾なしでも産卵・孵化することができます(孤雌生殖)。産卵開始は成虫になってから数週間〜数ヶ月後が一般的です。
産卵環境
産卵場所は特に底材など必要なく、コノハムシは卵を床や壁にランダムに産み落とします。卵は木の種子に似た形状(種子擬態)で非常に小さく(約5mm)、褐色〜黒色をしています。
卵の孵化管理
- 卵を別の孵化容器に移す(湿ったバーミキュライトや水苔の上に置く)
- 温度25〜28℃・湿度70〜80%を保つ
- 孵化期間は種類によって異なるが、平均4〜8ヶ月
- 孵化した直後のL1幼虫は非常に小さく(1〜1.5cm)、すぐに食草を与える
長期飼育のコツ
コノハムシの飼育で最も大切なのは「適切な湿度管理」と「無農薬の食草の確保」です。湿度不足による脱皮失敗と農薬による死亡が最大の原因となります。
成虫の寿命は種類にもよりますが、メスで8〜12ヶ月程度です。適切に世話をすれば産卵した卵から次世代を育てることができ、長くコノハムシの飼育を楽しめます。
動かない・食べない・葉に完璧に溶け込んでいるコノハムシは、ペットとして変わった存在ですが、その精巧な擬態は見る人を驚かせ続けます。独特の昆虫飼育を楽しみたい方にぜひおすすめです。