ハサミムシの飼育ガイド|日本のコアシハサミムシ・エゾハサミムシの飼い方と繁殖
ハサミムシの飼育ガイド。コアシハサミムシ・エゾハサミムシの飼育環境・給餌・繁殖方法を解説。卵を守る母性行動など観察の見どころも紹介します。ハサミムシ(鋏虫)は、尾部に特徴的なハサミ(尾鋏:びきょう)を持つ昆虫です。夜行性で植食・腐食性の掃除屋として生態系で重要な役割を果たします。カブトムシやクワガタほど人気はあり…

この記事のポイント
ハサミムシの飼育ガイド。コアシハサミムシ・エゾハサミムシの飼育環境・給餌・繁殖方法を解説。卵を守る母性行動など観察の見どころも紹介します。ハサミムシ(鋏虫)は、尾部に特徴的なハサミ(尾鋏:びきょう)を持つ昆虫です。夜行性で植食・腐食性の掃除屋として生態系で重要な役割を果たします。カブトムシやクワガタほど人気はあり…
ハサミムシ(鋏虫)は、尾部に特徴的なハサミ(尾鋏:びきょう)を持つ昆虫です。夜行性で植食・腐食性の掃除屋として生態系で重要な役割を果たします。カブトムシやクワガタほど人気はありませんが、その独特の外見と意外なほど高い母性(子育て行動)から、昆虫観察・飼育の対象として注目されています。このガイドでは、日本に生息するコアシハサミムシやエゾハサミムシを中心に、飼育・繁殖のポイントを解説します。
ハサミムシの基本知識:種類と見分け方
日本には約20種のハサミムシが生息しています。飼育によく使われる種は以下のとおりです。
コアシハサミムシ(Anisolabis maritima) 海岸や河川敷の砂地に多く生息。体長15〜25mm。ハサミが特徴的で湾曲度が大きい。飼育しやすく、繁殖も比較的容易。
エゾハサミムシ(Forficula mikado) 山地・森林帯に生息。体長10〜15mm。ハサミは細長く、雌雄差が明瞭(オスのハサミが大きく曲がる)。国内でも一般的な種。
ヤマトハサミムシ(Haplodiplatys pacificus) 本州・四国・九州の湿った場所に生息。体長8〜12mm。最も入手しやすい種の一つ。
ハサミムシに関する誤解: ハサミムシは人を傷つけません。ハサミは防衛・交尾・獲物捕獲に使いますが、人の皮膚を切る力はほぼありません。触っても問題ありませんが、驚かせると臭腺から分泌物を出すことがあります。
飼育環境のセットアップ
ケース: 中型のプラスチックケース(30cm×20cm程度)が適切です。蓋は密閉性の高いものを選びます。ハサミムシは意外とすばしっこく、隙間があると脱走します。
底床: やや湿らせたヤシガラマット・腐葉土・赤玉土(小粒)を3〜5cm敷きます。湿度60〜70%を維持するのが目標です。乾燥しすぎると脱水・死亡しますが、過湿もカビ・雑菌繁殖の原因になります。スプレーで週1〜2回霧吹きします。
温度: 国産種(コアシ・エゾ)は15〜28℃で飼育可能です。夏の高温(30℃以上)は致命的なので、室内の涼しい場所に置きます。冬は5℃以上あれば生存できますが、繁殖させる場合は20〜25℃を維持します。
シェルター: 朽木の欠片・樹皮・コルク板・卵パックなどを数個入れます。ハサミムシは暗くて狭い場所を好み、昼間はシェルターに隠れています。シェルターを複数設けることで複数個体の縄張り争いも緩和されます。
照明: 特に必要ありません。夜行性なので、明るい場所に置くと活動が抑制されます。観察する場合は夜間に懐中電灯で見ます。
給餌:雑食性で管理しやすい
ハサミムシは雑食性で、多様なエサを食べます。
主な餌: - 野菜くず(キャベツ・レタス・ニンジン・小松菜の切れ端) - 果物(バナナ・リンゴの皮) - 昆虫ゼリー(カブトムシ用・低糖分タイプ) - 小型の昆虫(コオロギの死骸・ワーム) - 魚のフレーク餌(少量)