ニホンイシガメの飼育ガイド|在来種の保護意識と水槽・屋外飼育の基本
日本固有種のニホンイシガメ(Mauremys japonica)の飼い方を詳しく解説。入手方法・法的立場・水槽と屋外池の設置、冬眠管理、餌の種類と給餌頻度、よくかかる病気と予防まで在来種の正しい飼育知識をまとめます。

この記事のポイント
日本固有種のニホンイシガメ(Mauremys japonica)の飼い方を詳しく解説。入手方法・法的立場・水槽と屋外池の設置、冬眠管理、餌の種類と給餌頻度、よくかかる病気と予防まで在来種の正しい飼育知識をまとめます。
ニホンイシガメとは
ニホンイシガメ(Mauremys japonica)は日本固有の淡水ガメで、本州・四国・九州・周辺島嶼に分布しています。かつては水田・小川・池で普通に見られましたが、近年は生息地の減少・外来種(ミシシッピアカミミガメ)との競合・捕獲圧により準絶滅危惧種(NT)に指定されています。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Mauremys japonica |
| 分布 | 日本固有(本州・四国・九州) |
| 成体サイズ | オス10〜14cm、メス15〜20cm |
| 寿命 | 30〜40年(適切な管理下) |
| 保護状況 | 環境省レッドリスト準絶滅危惧(NT) |
| 特徴 | 黄褐色〜オリーブ色の甲羅・黄色い腹甲 |
入手と法律について
ニホンイシガメは野生個体の採集・販売については地域ごとに条例が異なります(一部都道府県では採集禁止)。購入は爬虫類専門店や登録ブリーダーからの人工繁殖個体(CB個体)を選ぶことが推奨されます。
野外での採集は在来種保護の観点からも控え、ブリーダーから健全な個体を入手することが在来種保護への貢献につながります。
飼育環境の設定
水槽(室内飼育)
- サイズ:成体1匹に対して90cm以上の水槽が理想。幅60cm×奥行30cm以上が最低ライン
- 水深:甲長の2〜3倍程度(15〜30cm)。泳ぎながら水面に頭を出せる深さ
- 陸場:水槽全体の1/3以上の陸地(石・レンガ・市販の亀用陸地)を設置。完全に乾燥できる場所が必須
- フィルター:水が汚れやすいため、外部式フィルターや上部式フィルターが適切
- バスキングライト:陸場の上に設置。陸場の温度を30〜35℃に保つ
- 紫外線(UVB)ライプ:代謝・甲羅の形成に必須。10.0相当のランプを12時間照射
屋外飼育(庭・ベランダ)
ニホンイシガメは屋外飼育にも適応しており、日本の気候(冬眠あり)に対応しています。
- プラ舟・FRP池:100〜300Lの舟や池を使用
- 脱走防止:意外と活発に動くため、30cm以上の壁が必要。ガラス製フタも推奨
- 日当たり:1日4〜6時間の直射日光が当たる場所が理想
- 天敵対策:カラス・ネコ・タヌキ・ハクビシンから守るネット設置
餌と給餌
ニホンイシガメは雑食性で、動物食と植物食のバランスが重要です。
主な餌の種類
| 餌の種類 | 給餌頻度 | 備考 |
|---|---|---|
| 配合飼料(亀専用ペレット) | 週3〜5回 | メインの餌。カルシウム・ビタミン含有 |
| 乾燥エビ・ミミズ | 週1〜2回 | タンパク質の補充 |
| 小魚(生・冷凍) | 週1〜2回 | 嗜好性が高い |
| 野菜・水草(アナカリス等) | 週1〜2回 | 食物繊維・ビタミン補給 |
給餌量の目安:1回に5〜10分で食べ切れる量。食べ残しはすぐに取り除く(水質悪化防止)。
水中での給餌が基本ですが、食べ残しが多い場合は別容器に移して給餌し、食後に水槽に戻す方法が有効です。
冬眠管理
ニホンイシガメは気温が10℃以下になると活動量が落ち、5℃前後で冬眠に入ります。
室内飼育での選択肢
- 冬眠させる:水温が5℃前後になったら餌やりを止め、水深を深くして暗所に置く。水温が0℃以下になる地域では凍結防止対策が必要
- 冬眠させない(加温飼育):ヒーターで水温を20〜25℃に維持して通年活動させる。成長は速いが長期的な健康面では冬眠させるほうが自然
屋外飼育での冬眠
- 水深を30cm以上確保して凍結を防ぐ
- 水底に落ち葉や泥を入れて潜れる場所を作る
- 3〜4月に水温が10℃以上になったら餌やりを再開
よくかかる病気
肺炎・呼吸器感染症
鼻から泡が出る・口を開けて呼吸する・浮いたまま沈めない場合は肺炎の疑いがあります。原因は低温・水質悪化・ストレス。早急に温度を25〜28℃に上げて動物病院へ。
甲羅のトラブル(甲羅腐れ・ソフトシェル)
甲羅が変色・腐敗・柔らかくなっている場合は、細菌感染・カルシウム不足・UVB不足が原因です。消毒と食事改善が必要。
眼の病気(結膜炎・ビタミンA欠乏)
目が腫れている・目やにが多い場合はビタミンA不足(偏食)や細菌感染が原因。配合飼料をバランスよく与えることで予防できます。
まとめ:日本の自然を守る飼育を
ニホンイシガメは日本が誇る固有種で、その美しい姿と長寿から飼育の醍醐味を与えてくれます。在来種であるため、ペットとして飼育する際は「野外に放さない」「CB個体を選ぶ」という最低限のルールを守ることが種の保護に直結します。
適切な環境・冬眠管理・バランスの取れた食事を提供することで、30年以上のパートナーになり得る爬虫類です。