メインコンテンツへスキップ猫の上部気道感染症(猫風邪)完全ガイド|原因・症状・治療・予防接種 | ブリちょく猫| ✍️ ブリちょく編集部
猫の上部気道感染症(猫風邪)完全ガイド|原因・症状・治療・予防接種
猫の「猫風邪」(上部気道感染症)の原因ウイルス(ヘルペスウイルス・カリシウイルス)と細菌(クラミジア)、症状・治療法・ワクチン予防・多頭飼育での管理について詳しく解説します。猫の「猫風邪」は、正確には「猫上部気道感染症(Upper Respiratory Infection: URI)」と呼ばれ、複数の病原体によ…
この記事のポイント
猫の「猫風邪」(上部気道感染症)の原因ウイルス(ヘルペスウイルス・カリシウイルス)と細菌(クラミジア)、症状・治療法・ワクチン予防・多頭飼育での管理について詳しく解説します。猫の「猫風邪」は、正確には「猫上部気道感染症(Upper Respiratory Infection: URI)」と呼ばれ、複数の病原体によ…
猫の「猫風邪」は、正確には「猫上部気道感染症(Upper Respiratory Infection: URI)」と呼ばれ、複数の病原体による感染性の呼吸器疾患の総称です。子猫や免疫力の低い猫では重症化リスクが高く、多頭飼育施設やシェルターでの集団感染も問題となります。本記事では、猫風邪の原因・症状・治療・予防について詳しく解説します。
猫風邪の主な原因病原体
猫の上部気道感染症は複数の病原体が関与しており、多くの場合は混合感染が見られます。
猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)
猫の上部気道感染症の最も主要な原因ウイルスです。感染した猫の約80%がキャリアとなり、生涯にわたってウイルスを潜伏保持します。ストレス・免疫低下・ステロイド投与などをきっかけに再活性化し、症状が再燃します。
主な症状:くしゃみ・鼻水・目やに(角膜炎・結膜炎を含む)・発熱・食欲不振。重症例では角膜潰瘍(角膜の傷)を起こし、失明につながる場合もあります。
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ブリちょく編集部
生体の飼育情報を専門に扱うブリちょく編集部。獣医療・繁殖の各分野を取材し、初心者にも分かりやすい記事をお届けします。
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猫カリシウイルス(FCV)
もう一つの主要な呼吸器ウイルスです。ヘルペスウイルスと異なり、口腔内潰瘍(舌・口蓋の潰瘍)が特徴的な症状として現れます。系統によっては重篤な全身性疾患(virulent systemic FCV: vsFCV)を引き起こし、皮膚潰瘍・多臓器不全・高死亡率を示すことがあります(稀だが重大)。
変異しやすいウイルスであるため、ワクチンが完全な感染防御を保証するわけではありませんが、重症化の防止に有効です。
クラミジア・フェリス(Chlamydophila felis)
細菌(細胞内寄生性)で、主に結膜炎を引き起こします。子猫(5週齢〜)での発症が多く、多頭飼い環境での感染拡大が問題となります。抗生物質(ドキシサイクリン)が有効で、ワクチン(任意接種)も利用可能です。
ボルデテラ・ブロンキセプティカ
犬の「ケンネルコフ」の原因菌としても知られますが、猫にも感染して気管支炎・肺炎を引き起こすことがあります。多頭飼い環境や密集した猫集団(保護シェルター等)での感染が多いです。
症状と重症度の判断
- 激しいくしゃみ
- 透明〜膿性の鼻水
- 目やに・結膜炎(目が腫れる・充血・目脂)
- 発熱(39.5℃以上)
- 食欲不振・元気消失
- 口腔内潰瘍(カリシウイルス感染時)
要注意サイン(緊急受診を検討):
- 開口呼吸・口を開けて呼吸する
- チアノーゼ(舌・歯茎が青白い)
- 全く飲食できない状態が24時間以上
- 目を完全に開けられない、角膜に白い曇りがある
- 脱水症状(皮膚の弾力低下、口腔内乾燥)
子猫(8週齢以下)・高齢猫・免疫抑制状態の猫(FIV/FeLV陽性、ステロイド治療中等)では症状が急速に悪化することがあります。
診断方法
多くの場合、症状と感染歴(多頭飼育環境・シェルター出身)から臨床診断が行われます。確定診断が必要な場合は以下の検査を行います。
PCR検査(鼻咽頭スワブ):FHV-1・FCV・クラミジアのDNA/RNAを検出します。最も感度の高い診断法ですが、キャリア猫でも陽性となる場合があり、結果の解釈に臨床的な判断が必要です。
ウイルス分離培養:専門機関での検査で、研究・集団感染調査に使用されます。
眼科検査:角膜潰瘍の有無を評価するためにフルオレセイン染色等を行います。
治療法
猫風邪に対するウイルス特異的な治療薬は限られていますが、支持療法と二次感染の予防が治療の中心となります。
抗ウイルス薬:
- ファムシクロビル(FHV-1に対して有効):経口投与が可能な抗ヘルペス薬です。症状の期間を短縮し、再発頻度を下げる効果があります。
- リジン(アミノ酸):かつてはFHV-1の複製を抑制するとして使用されていましたが、現在は有効性の根拠が弱いとされ推奨されない傾向にあります。
- インターフェロン(猫α-インターフェロン):免疫賦活として使用される場合があります。
抗生物質:ウイルス性URIに直接効果はありませんが、二次細菌感染(肺炎・副鼻腔炎)を治療・予防するために使用します。クラミジア感染にはドキシサイクリンが第一選択薬です。
支持療法:
- 点眼薬(抗生物質眼軟膏・目薬):結膜炎・角膜潰瘍の管理
- 補液(静脈内・皮下):脱水の是正
- 経管栄養・強制給餌:食欲がない場合の栄養補給
- 鼻水の加湿・スチーム吸入:分泌物の排出促進
- 食欲増進剤(ミルタザピン等):食欲不振の改善
ワクチン接種と予防
コアワクチン(必須):猫三種混合ワクチン(FHV-1 + FCV + 猫汎白血球減少症ウイルス)がコアワクチンです。すべての猫に推奨されます。
ワクチンは感染を完全に防ぐわけではありませんが、発症の重症化防止・症状期間の短縮に非常に有効です。特にFCVは変異しやすいため、複数の系統をカバーする多価ワクチンが使用されています。
ノンコアワクチン(状況に応じて):クラミジア・ボルデテラのワクチンは、多頭飼育・シェルター出身・ハイリスク環境の猫に推奨されます。
スケジュール:
- 子猫:生後8〜9週、12週、16週に初回接種(3回接種)
- 成猫:最終接種から1年後にブースター、その後は3年ごと(リスクに応じて毎年)
- 室内飼いの猫でも定期的なワクチン更新が推奨されます
多頭飼育環境での感染管理
シェルター・キャッテリー(繁殖施設)での集団感染管理は特に重要です。
新入り猫の隔離:新たに迎えた猫は最低2〜3週間は既存の猫と隔離し、症状の発現がないことを確認します。
環境消毒:FHV-1・FCVは1:32希釈の次亜塩素酸ナトリウム(ハイター等)で不活化できます。感染猫が使用したトイレ・食器・ベッドは徹底的に消毒します。
タオル・食器の共用禁止:ウイルスは分泌物(鼻水・目やに・唾液)を介して感染するため、用品の共用はやめましょう。
キャリア猫の管理:FHV-1キャリア猫のストレス軽減(個別スペースの確保・安定した日課)がウイルスの再活性化予防につながります。
猫風邪は完治が難しい場合もありますが、ワクチン接種・適切な管理・早期治療によって重症化を防ぐことは十分可能です。複数猫を飼育するブリーダーや多頭飼いの方は、感染管理の知識を身につけて健康な環境を維持しましょう。ブリちょくでは、ワクチン接種・健康管理に取り組むブリーダーから猫を迎えることができます。