
テンジクダイは体長5〜10cm程度の小型海水魚で、サンゴ礁の隙間を好む落ち着いた性格が特徴です。口の中で卵を守る「マウスブルーダー」としての繁殖行動が観察でき、飼育下でも繁殖に成功しやすい種として人気があります。比較的丈夫で水質への適応力も高く、海水魚飼育の入門にも適しています。
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テンジクダイ科(Apogonidae)はインド洋・太平洋のサンゴ礁域を中心に200種以上が分布する大きなグループで、日本近海でも多くの種が確認されています。体型は紡錘形でやや扁平、鮮やかな赤やオレンジ、縞模様を持つ種が多く、水槽内でも独特の存在感を放ちます。大きな目は薄暗いサンゴの隙間での生活に適応した名残で、夜行性傾向が強い種もいます。最大の魅力はオスが卵を口内で保護するマウスブルーディングで、この繁殖行動が観察できる数少ない海水魚として愛好家に高く評価されています。温和な性格と丈夫さから混泳水槽にも馴染みやすく、初心者から経験者まで幅広く楽しめる海水魚です。
1水槽サイズの目安
テンジクダイは単独飼育なら45cm水槽(約40L)から飼育可能ですが、複数匹や他の魚との混泳を考えるなら60cm以上が安心です。隠れ場所となるライブロックやサンゴ岩を多めに配置すると、ストレスを軽減できます。
2マウスブルーダーの習性
繁殖期にオスが受精卵を口に含んで孵化まで守る「マウスブルーダー」の行動を見せます。抱卵中のオスはほとんど採食しないため、細長い体つきになることがあります。この時期は特に刺激を与えず、静かな環境を保つよう心がけましょう。
3混泳相性の注意点
温和な性格のため、カクレクマノミや小型ハゼ、ナンヨウハギなどと混泳させやすい魚です。ただし、同種同士は縄張り意識が出る場合があるため、隠れ場所を複数用意するか、ペアで導入するのが基本です。大型の肉食魚との混泳は避けましょう。
4適正水質と水温管理
適正水温は24〜27℃、比重は1.023〜1.025、pHは8.1〜8.4が目安です。テンジクダイは水質の急変に敏感なため、換水は一度に全水量の10〜15%程度にとどめ、ゆっくり安定させることが大切です。硝酸塩の蓄積にも注意し、定期的な水質検査を習慣にしましょう。
5餌付けと給餌のコツ
冷凍ブラインシュリンプ、コペポーダ、小型の冷凍アミエビなどを好みます。人工飼料への餌付けも可能で、粒サイズの小さいペレットやフレークを少量ずつ1日2回与えるのが理想的です。野生個体は最初に生き餌から慣らすとスムーズに移行しやすくなります。
6夜行性の行動パターン
テンジクダイは夜行性の傾向が強く、昼間はライブロックの陰や洞窟状の隙間に潜んでいることが多いです。消灯後に活発に泳ぎ回る様子が観察できます。照明のオン・オフを急激に行うと驚いてパニックを起こすことがあるため、徐々に明るさが変わるタイマー設定が理想的です。
7導入時のトリートメント
新しい個体を迎える際は、2〜4週間のトリートメント(隔離水槽での観察)を行うことを強く推奨します。点滴法でゆっくり水合わせを行い、白点病やウーディニウム症の症状がないか観察しましょう。海水魚は淡水魚よりも水質変化への反応が速いため、丁寧な導入が長期飼育の鍵となります。