フンコロガシ・コプリス属の飼育と繁殖ガイド|糞虫の不思議な生態を楽しむ
フンコロガシ・コプリス属などの糞虫(スカラベ)の飼育・繁殖方法を解説。糞球の作り方・親虫の育て方・幼虫管理まで、独特な生態を持つ糞虫の飼育を分かりやすく紹介します。フンコロガシ・糞虫(スカラベ)とはどんな昆虫か フンコロガシをはじめとする糞虫(ふんちゅう)は…

この記事のポイント
フンコロガシ・コプリス属などの糞虫(スカラベ)の飼育・繁殖方法を解説。糞球の作り方・親虫の育て方・幼虫管理まで、独特な生態を持つ糞虫の飼育を分かりやすく紹介します。フンコロガシ・糞虫(スカラベ)とはどんな昆虫か フンコロガシをはじめとする糞虫(ふんちゅう)は…
関連品種
フンコロガシ・糞虫(スカラベ)とはどんな昆虫か
フンコロガシをはじめとする糞虫(ふんちゅう)は、甲虫目コガネムシ科スカラベ亜科(Scarabaeinae)に属する昆虫の総称です。古代エジプトではスカラベ(甲虫)として神聖視されていたことで有名です。
糞虫は哺乳類・鳥類・爬虫類などの糞を食料・産卵床として利用する独特の生態を持ちます。糞を球状に丸めて転がすフンコロガシ(Scarabaeus sacer等)の行動はとくに有名ですが、日本に生息するコプリス属(Copris)も糞の中に幼虫の部屋(糞球)を作る「球虫」の仲間です。
飼育対象として流通しているのは主に日本産のコプリス・コルヌトゥス(コブナシコプリス)やアジア産のコプリス・オリエンタリスなどです。独特な親虫の子育て行動(育虫行動)が観察でき、昆虫の不思議な生態を体験できる魅力的な種類です。
必要な飼育設備
飼育ケース
コプリス属は地中に坑道を掘って生活するため、深さのある飼育ケースが必要です。
底床(産卵・幼虫育成用)
コプリス属の幼虫は糞の中で育つため、底床に新鮮な糞を含む土を使います。
理想的な底床の作り方:
- 腐葉土(または発酵マット)と草食動物(ウシ・ウマ・ヤギ)の乾燥糞を4:1の割合で混合
- 霧吹きで適度に湿らせる(握ると固まる程度)
- 深さ15〜20cm以上充填
代用できるもの: 市販の「カブトムシ用発酵マット」に、ペットショップで入手できる草食動物用の乾燥糞(ウサギ・チンチラの糞が入手しやすい)を混合すると代用できます。
温度・湿度管理
| 項目 | 推奨値 |
|---|---|
| 気温 | 22〜28℃ |
| 湿度 | 60〜70% |
| 採光 | 薄暗い場所(夜行性のため) |
コプリス属は夜行性で、日中は土中に潜んでいることがほとんどです。
餌と食性
コプリス属の成虫・幼虫ともに糞食性です。
成虫の餌:
注意点:
- 肉食動物の糞は腐りやすく細菌が多いため使用しない
- 糞は毎週交換して清潔を保つ
- 同じ草食動物の糞でも個体により好みがある場合がある
コプリス属の独特な育虫行動(親虫の子育て)
コプリス属の最大の魅力は、メス親が幼虫入りの糞球を世話するという独特な育虫行動です。
繁殖の流れ
- 交尾後、メスが地中に坑道を掘る
- 糞を集めて球状の「育虫球(いくちゅうきゅう)」を形成
- 育虫球の中に産卵し、メスが球の周囲で守り続ける
- 卵が孵化し、幼虫は糞球内部を食べながら成長
- 蛹化・羽化後に成虫が球を破って出てくる
このメスによる育児行動は昆虫界でも稀で、飼育下でもガラス越しに観察できる場合があります。
繁殖のコツ
- オスとメスを一緒に飼育: ペアで同じケースに入れることで交尾が起きやすくなる
- 産卵促進: 十分な深さの底床と豊富な糞素材を用意
- メスの育虫行動中は掘り起こさない: 球を壊すと育虫が失敗する可能性が高い
幼虫期の管理
育虫球内の幼虫は親虫が育てるため、基本的に人間が介入する必要はありません。自然に羽化まで管理されます。
幼虫を人工的に育てる場合は、育虫球を取り出し発酵マット+糞の混合底床の中に埋め込みます。幼虫が食べながら成長するため、底床が減ったら補充します。
飼育の注意点とトラブル対策
臭い対策 糞食性のため、飼育容器から特有の臭いが発生します。蓋を密閉せず通気を確保し、定期的な掃除で軽減できます。換気の良い場所に置くことを推奨します。
ダニ・コバエの発生 糞を含む底床はダニ・コバエが発生しやすい環境です。
- 底床を高温処理(60℃以上で1時間加熱)してから使用
- コバエシャッター付きの飼育ケースを使用
- 成虫の死骸はすぐに撤去
底床の水分管理 過乾燥では成虫が底床に潜れず、過湿ではカビが生えて幼虫が死亡します。週1回程度、霧吹きで調整しましょう。
まとめ
フンコロガシ・コプリス属は一般的な甲虫とは一線を画す独特の生態を持つ昆虫です。糞球を作り、メスが卵・幼虫を守るという行動は観察するだけで非常に興味深く、「生き物の不思議」を実感できます。臭いや糞の取り扱いに少し抵抗があるかもしれませんが、その独特の世界に踏み込む価値は十分あります。昆虫飼育の新たな挑戦として、ぜひコプリス属の飼育を試みてみてください。
