犬のOFA・CAER・心臓検査完全ガイド|ブリーダーが繁殖前に実施すべき健康認定制度
犬の繁殖前に必要なOFA(整形外科財団)の股関節・肘関節評価、CAER(眼科)認定、心臓病スクリーニングの制度・手順・費用・結果の読み方を解説。優良ブリーダーが実施すべき遺伝疾患認定検査の完全ガイドです。

この記事のポイント
犬の繁殖前に必要なOFA(整形外科財団)の股関節・肘関節評価、CAER(眼科)認定、心臓病スクリーニングの制度・手順・費用・結果の読み方を解説。優良ブリーダーが実施すべき遺伝疾患認定検査の完全ガイドです。
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OFA・CAER・心臓検査とは?ブリーダーに必要な健康認定制度の概要
優良ブリーダーの条件として、繁殖犬に対する健康認定検査(Health Certification)の実施が国際的なスタンダードとなっています。日本ではまだ普及途上ですが、北米・欧州のブリーダーコミュニティでは「健康検査(北米ではOFA、欧州ではFCI方式の股関節評価など)なしで繁殖を行うことは倫理的ではない」という認識が広まっています。
本稿では、代表的な3種類の認定制度——OFA(Orthopedic Foundation for Animals)、CAER(Companion Animal Eye Registry)、心臓認定——の仕組み・検査手順・費用・結果の読み方を詳しく解説します。
OFA股関節・肘関節評価:整形外科的健康認定
OFAとは
OFA(米国整形外科財団)は、犬の股関節形成不全(Hip Dysplasia)や肘関節形成不全(Elbow Dysplasia)を評価・記録する国際的な認定機関です。OFAデータベースに登録された検査結果は公開されており、購入者が親犬の健康履歴を確認できる仕組みになっています。
股関節(Hip)評価の手順
- 検査年齢:OFA正式評価は生後24ヶ月以降のX線で行う(予備評価は生後4〜23ヶ月で可能)
- 撮影体位:「仰臥位・後肢完全伸展」の標準X線を撮影(OFA は、筋肉が十分にゆるむ程度の鎮静・麻酔を推奨しています)
- 評価グレード:
- Excellent(優秀)
- Good(良)
- Fair(普通)—— 以上3段階が「繁殖可」と判断される
- Borderline(境界)
- Mild / Moderate / Severe Dysplasia —— 以上4段階は繁殖非推奨
- 日本での受診方法:OFA対応のX線を撮影できる整形外科専門獣医師、または大学附属動物病院でX線を撮影し、フィルム画像をOFAへ郵送・デジタル提出する
肘関節(Elbow)評価
- 評価グレード:Grade 0(正常)〜Grade 3(重度)
- Grade 0のみが繁殖推奨
- 大型犬(ラブラドール・ゴールデン・ジャーマンシェパード等)では特に重要
PennHIP法(代替評価)
PennHIPは股関節のゆるさ(DI値)を数値化する評価法で、生後16週から実施可能です。OFA法と併用することで若齢から股関節の健康を評価できます。DI値が0.3未満を目標とし、同一犬種内パーセンタイルで繁殖適性を判断します。
CAER眼科認定:遺伝性眼疾患のスクリーニング
CAERとは
CAER(Companion Animal Eye Registry)はOFAが運営する眼科専門の認定制度で、以前のCERF(Canine Eye Registration Foundation/犬眼登録財団)を引き継いだものです。認定獣医眼科専門医(ACVO)による眼底検査でのみ認定が受けられます。
検査対象となる主な遺伝性眼疾患
| 疾患名 | 主な罹患犬種 |
|---|---|
| 進行性網膜萎縮症(PRA) | ラブラドール、ゴールデン、コッカースパニエル |
| 網膜剥離 | ビーグル、ラブラドール |
| 白内障(遺伝性) | アメリカンコッカー、ボストンテリア |
| コリーアイ異常(CEA) | コリー、シェットランド、ボーダーコリー |
| 緑内障(原発性) | バセットハウンド、シャーペイ、プードル |
| 眼瞼内反症 | ゴールデン、チャウチャウ |
検査手順
- 散瞳薬点眼:検査前30〜45分前に散瞳薬を点眼
- 眼底鏡・スリットランプ検査:ACVO認定眼科医が眼底・水晶体・虹彩・角膜を詳細評価
- 認定有効期間:通常12ヶ月ごとに更新が必要(一部疾患は年1回の継続検査が推奨)
- 費用目安:1頭あたり8,000〜25,000円(動物病院により異なる)
日本でCAER検査を受けるには
日本では、眼科を専門とする獣医師に相談することで類似の遺伝性眼疾患スクリーニングを受けられます。OFAのCAERに登録する場合はACVO認定の獣医眼科専門医による検査が必要になります。
心臓病スクリーニング:心臓認定の仕組み
心臓検査が重要な犬種
犬の遺伝性心疾患で最も多いのは僧帽弁閉鎖不全症(MVD)と拡張型心筋症(DCM)です。
| 疾患 | 主な罹患犬種 |
|---|---|
| 僧帽弁閉鎖不全症(MVD) | キャバリアキングチャールズスパニエル、チワワ、プードル |
| 拡張型心筋症(DCM) | ドーベルマン、グレートデン、アイリッシュウルフハウンド |
| 肺動脈狭窄(PS) | ボクサー、フォックステリア |
OFA心臓認定の手順
- 検査資格:聴診による基本の心臓認定(Basic Cardiac)は一般の獣医師でも検査でき、登録番号に検査者の種別(心臓専門医・専門医・一般開業医)が記録される。心エコーを含む上位の認定(Advanced Cardiac)はACVIMまたはECVIMの心臓専門医のみ
- 検査内容:聴診(心雑音・不整脈の評価)+ 必要に応じて心エコー(超音波検査)
- グレード判定:Normal(正常)/ Equivocal(疑陽性)/ Affected(異常)
- キャバリア専用プロトコル:MVD予防に向けたキャバリア専用繁殖プロトコル「MVD Breeding Protocol」では、繁殖犬自身が2.5歳以上で心雑音なし、かつ両親が5歳以上で心雑音なしの認定を要求
日本での実施
日本獣医循環器学会の認定医や大学附属病院の循環器科で相当のスクリーニングが受けられます。キャバリアの心臓検査結果は、OFAの心臓データベースへの登録も検討してください。
DNA遺伝子検査との組み合わせ:認定検査の補完関係
OFA・CAER・心臓認定は表現型(Phenotype)検査——実際の身体所見を評価するものです。一方、遺伝子検査は遺伝子型(Genotype)を評価します。
| 検査種別 | 評価対象 | 代表的な検査 |
|---|---|---|
| 表現型検査(OFA等) | X線・眼底・聴診所見 | 股関節・眼疾患・心臓 |
| 遺伝子検査 | DNA変異の有無 | PRA遺伝子・HUU・DM等 |
両者を組み合わせることが最も信頼性が高く、OFA認定で正常でも遺伝子キャリアの場合があるため(劣性遺伝疾患)、両検査の実施が推奨されます。
繁殖判断への活用:検査結果の読み方と実践
検査結果データベースの活用
- OFAデータベース(offa.org):公開登録により購入者が親犬の健康履歴を確認可能
- Embark / Wisdom Panel:DNA検査と表現型データを統合管理
- ジャパンケネルクラブ(JKC):JAHD(日本動物遺伝病ネットワーク)の股関節・肘関節評価結果を血統証明書に記載
繁殖可否の判断基準(国際基準の目安)
| 検査 | 繁殖推奨条件 |
|---|---|
| OFA股関節 | Excellent / Good / Fair以上 |
| OFA肘関節 | Grade 0 |
| CAER眼科 | 遺伝性眼疾患なし |
| OFA心臓 | Normal |
費用の目安と計画
繁殖犬1頭あたりの全認定検査費用目安(日本):
- 股関節X線+評価:15,000〜35,000円
- 眼科検査:8,000〜25,000円
- 心臓検査(エコー込み):20,000〜50,000円
- DNA遺伝子検査:15,000〜40,000円
合計:約6〜15万円/頭
この費用は高く感じるかもしれませんが、遺伝疾患を持つ子犬が生まれた場合のブリーダーの経済的・倫理的リスクを考えると必要不可欠な投資です。
まとめ:健康認定検査はブリーダーの責務
OFA・CAER・心臓認定は、ブリーダーが遺伝疾患の蔓延を防ぎ、犬種の健全な未来を守るための最重要ツールです。
これらの検査を実施し、結果を公開することは、購入者への透明性を示すとともに「この繁殖者は犬の健康を最優先にしている」という強力なシグナルとなります。ブリちょく経由で出品する優良ブリーダーは、ぜひこれらの健康認定を繁殖の標準プロセスとして組み込んでください。







