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系統(ライン)とは|血統書から系統を読み解く方法をブリーダー向けに解説
系統ライン血統書
記載事項の意味が分かることと、家系図の並びからその犬舎が何をやろうとしてきたかを読むことは、別の技能です。この記事は後者を扱います。記載事項そのものの読み方は血統書の読み方にまとめてあるので、そちらを前提として進めます。
系統と血統は同じではない
日常会話ではほぼ同じ意味で使われますが、繁殖の現場では区別されます。
- 血統:その犬の祖先の記録そのもの。登録犬であれば必ず持っています
- 系統(ライン):特定の犬を起点に、繁殖者が意図的に作った血の流れ。持っている犬と持っていない犬があります
血統書はすべての登録犬に発行されます。しかし血統書を持っていることと、系統を持っていることは別です。祖先が毎代バラバラな犬は、血統はありますが系統はありません。誰かが選んで重ねた跡がないからです。
逆に、家系図の中に同じ犬・同じ犬舎名が繰り返し現れる犬は、その繰り返しが「偶然そうなった」ものではありません。誰かが何度も同じ方向を選んだ結果です。
血統書のどこに系統が現れるか
JKC の血統証明書には、祖先を3代前(父母・祖父母・曽祖父母)まで記載した3代祖血統証明書と、さらに1代前まで遡った4代祖血統証明書があります。4代祖は一胎子登録の申請書で「□4代祖」にチェックを入れて同時に申請するのが本来の経路です(あとから3代祖を4代祖へ変更する手続きも別にあります)。系統を読む材料は、この家系図の部分です。
最初に見るのは犬名に含まれる犬舎名です。JKC の犬名は「名前+犬舎名」で構成され、犬舎名は繁殖者の屋号にあたります(詳細は犬舎名の登録)。つまり家系図に並ぶ祖先犬の名前は、それぞれがどこの犬舎から出た犬かを示していることになります。
実際の手順はこうです。
- 家系図の祖先犬を、個体名ではなく犬舎名で色分けする
- 少数の犬舎に偏っているか、それとも一頭ごとにばらけているかを見る
- 偏っているなら、その犬舎が起点。ばらけているなら、そのときどきで良さそうな相手を選んできた寄せ集め
3代祖に同じ犬が2回出るとき
無関係な2頭を交配すれば、3代祖の祖先犬はすべて別の犬になります。同じ犬が2回以上現れていれば、そこには誰かの選択があったということです。偶然ではありません。
ただし、その重なりが父方と母方にまたがっているのか、片側で閉じているのかは必ず確認してください。見た目は同じ「2回」でも意味はまったく違います。
| 重なり方 | 何を意味するか |
|---|---|
| 父方と母方の両側に同じ犬 | その犬を経由して父と母がつながっている。この子自身の血が濃くなるのはこの形だけ |
| 片側だけに2回(例:父方に2回) | 濃いのはその親であって、この子ではない。「父自身が近い血で作られている」という情報 |
| 複数の位置に散在 | その犬が系統全体の起点になっている |
理由は近交係数の数え方にあります。近交係数は「父からたどって共通祖先に至り、そこから母へ下る経路」だけを合計するため(近交係数(COI)とは)、片側で閉じた重なりはこの経路を作らず、その子の数字には効きません。「同じ名前が2回出ている=この子は濃い」と読むのは誤りで、片側の重なりはその親を評価する材料にはなりますが、目の前の子の近交度とは別の話です。
両側にまたがる重なりだと分かったら、次に見るのは世代の近さです。祖父母の欄で重なっていれば近く重ねており、曽祖父母の欄なら緩やかに重ねています。この使い分けが、ラインブリーディング・インブリーディング・アウトクロスで扱う手法の違いです。
そして繰り返し現れている犬こそが、その系統が固定しようとしている特徴の出所です。系統を評価するというのは、突き詰めればその1頭を評価することになります。
系統を読むときにブリーダーが見ている点
購入検討でも交配相手の検討でも、見る順序はほぼ同じです。
- 繰り返し現れる犬は誰か:系統の起点。この犬について調べられるだけ調べる
- 父方・母方のどちらから来ているか:片方だけなら影響は限定的、両方なら強い
- 何代空けて重ねているか:直近の世代ほど影響が大きく、リスクも大きい
- CH 表記がどの世代にあるか:直近に集中しているか、古い世代だけか。古い世代だけなら、その犬舎の評価は過去のもの
- 犬舎名の連続性:同じ犬舎名が何代続いているか。1代だけなら系統ではなく単発
※血統証明書の様式・記載内容は 2026年8月時点の JKC 公式サイトに基づきます。改定されることがあるため、最新の見かたは公式の解説を確認してください。